ASUS ROG Allyシリーズには、多種多様な製品があります。
最初に発売されたのは2023年の元祖モデル。そのあと2024年版ASUS ROG Ally Xと、2025年に追加されたROG Xbox AllyおよびROG Xbox Ally Xなど、モデル数は決して少なくはありません。
ASUS ROG AllyやASUS ROG Ally Xから別のモデルに買い替えたいという方や、新しくポータブルゲーミングPCを買いたいという方にとって、気になるのは各モデルの違い。
そこで本記事では、ASUS ROG Ally X・ROG Xbox Ally・ROG Xbox Ally Xの簡単な歴史、違いについて、紹介していきます。
最後には、それぞれどんな方におすすめのモデルなのか、ROG Ally Xからの買い替えにおすすめのモデルについても解説していくので、ぜひご参照ください。
ROG Xbox Ally X
ROG Xbox Ally
本記事は購入した製品とあわせ、ASUS様からお借りした製品を含め執筆しております
ROG Ally の歴代モデルを紹介

まず、ROG Allyシリーズの歴史について簡単に触れていきます。
ROG Ally が登場したのは2023年のこと。Windows 11を搭載した「持ち歩けるゲーミングPC」として、当時ではまだ少なかったジャンルに参入します。
AMD Ryzen Z1/Z1 Extremeを搭載し、SteamやXbox Game Passといったプラットフォームで、PCゲームを外出先でも快適にプレイできる事で注目が集まりました。

しかし動きの激しいゲームではFHDでのプレイは難しく、基本的には解像度を下げて遊ぶのが基本でした。
翌2024年には「ROG Ally X」が登場。

初代モデルの使い勝手を見直し、バッテリー容量の拡大や放熱設計の改良など、長時間プレイを意識した設計に進化しました。
メモリは24GBに増量され、ストレージも1TBに。携帯性とパフォーマンスのバランスが洗練され、実用機としての完成度を高めたモデルです。
サイバーパンク2077やモンハンワイルズなどの負荷の高いゲームも設定次第でFHD解像度で遊べたのには驚かされました。
そして2025年、マイクロソフトとの共同開発によって新たなフェーズに。

「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」の2モデルが登場し、シリーズとして初めて Xbox ブランドを冠することになりました。
Xbox Game Passと連携する専用UI「Xboxフルスクリーンエクスペリエンス」を搭載し、ゲームへのアクセスがよりシームレスになっています。
上位モデルのROG Xbox Ally Xには、AI処理対応のRyzen AI Z2 Extremeを搭載。
高い処理性能に加え、NPUによるAIワークロードにも対応することで、ゲームだけでなくクリエイティブ用途にも対応できるモデルとなりました。
ROG Xbox Ally XとXbox Allyの違い

続いて2025年に新しく登場したROG Xbox Allyシリーズの2モデルの違いについて紹介していきます。ROG Xbox AllyとROG Xbox Ally Xの性能の違い、バッテリーや操作性の違いなどについて気になる方は、ぜひご参照ください。
CPU性能とグラフィック性能の違い

ROG Xbox Ally Xには、最新のAMD Ryzen AI Z2 Extremeが搭載されています。
8コア16スレッドのCPUで、RDNA 3.5世代GPUを内蔵しているのが特徴です。
そのうえ、AI対応のNPUを搭載しています。NPUというのは、AI処理に特化したプロセッサーのことです。AI処理を低消費電力・高速に処理することができるため、AIを使った作業に向いています。
さらに、そもそものCPU性能が高く、動画編集や配信など高負荷の作業も快適に行えるのがAMD Ryzen AI Z2 Extremeの良いところです。
そのうえ、内蔵グラフィックはRTX3050並の性能。中量級のゲームまでなら快適にプレイできるうえに、重量級のゲームでも画質設定を落とせば60fps前後でプレイできるタイトルもあります。
一方、ROG Xbox Allyには、AMD Ryzen Z2 Aを採用。
4コア8スレッドのCPUで、CPUの処理性能はそれほど高くありません。軽いゲームや普段使い、簡単なオフィス作業程度は快適ですが、負荷が高い作業に使うのは難しいです。
内蔵グラフィックはRDNA 2世代GPUで、こちらもレトロゲームや負荷が軽い2Dのゲーム程度であれば快適に遊べるという性能になっています。
下の比較画像は、Armoury Crate SEで表示されるターボモードの設定値です。

左がROG Xbox Ally X、右がROG Xbox Ally(無印)。Ally XはACアダプターを接続すると最大35W、バッテリー駆動では25W。一方で無印モデルは、AC接続時も20W固定となっています。
この電力設定の違いは大きな性能差につながります。Ally Xは35W駆動時、CPUとGPUが高いクロックを維持できるため、同じ設定でもフレームレートが伸び、重いタイトルでも動作が安定します。
逆に無印モデルは、消費電力の上限が低いため、描画負荷が高いゲームではフレームレートの落ち込みやカクつきが目立ちます。
その為、動きのある3Dゲームではグラフィック設定はもちろん、FHDではなく720pに解像度を下げてプレイすることを前提に考える必要があります。
同じAMD Ryzen AI Z2 を搭載していても「Extreme」と「A」型番では大きな差があり、AC接続時の35W出力を持つXモデルは、まったく別物と考えた方が良いです。
※いくつかのベンチを回していますので、実際のデータはベンチマーク結果をご覧ください。
メモリとストレージの違い

ROG Xbox Ally Xには、24GBのLPDDR5X-8000メモリと1TBのSSDが搭載されています。
LPDDR5X-8000メモリは処理が非常に高速で、快適。そのうえメモリ容量も大きいので、配信や複数アプリ同時使用などのメモリを大きく消費するような使い方をしても問題ありません。
一方、ROG Xbox Allyに搭載されているのは、16GBメモリと512GBのSSDです。
グラフィックメモリとメインメモリ合わせて16GBなので、一般的な用途には十分ですが、配信や複数アプリ同時使用などの負荷が大きい作業には少し不足感があります。
ストレージについても、ROG Xbox Ally Xのほうが大きいです。
ただ、どちらもストレージの換装が可能になっています。
拡張性には、差がありません。
インターフェースの違い

ROG Xbox Ally XもROG Xbox Allyも、ディスプレイは同じです。
- 最大解像度:フルHD
- ディスプレイサイズ:7インチ
- パネル:IPS
- 最大リフレッシュレート:120Hz
- タッチパネル:対応
以上の特徴を持つディスプレイが搭載されており、性能面に違いはありません。
ただ、ROG Xbox Ally Xのほうには、耐久性を高める加工と反射防止処理が強化されています。
性能は同じですが、こうした細かな部分に違いがあるので、注意しましょう。
また、インターフェースについて。
ROG Xbox Ally Xには、USB4ポートとUSB 3.2 Gen2ポートを搭載しているという特徴があります。

最大40Gbpsの高速データ転送、高解像度の映像出力、電力供給可能などの特徴がある規格です。
外部拡張性も、ROG Xbox Ally Xのほうが高くなっています。
一方で、ROG Xbox AllyのほうはUSB 3.2 Gen2ポートを2つ搭載。
拡張性はそれほど高くはないものの、USB 3.2 Gen2ポートは普段使いでは十分です。
操作性の違い

ROG Xbox Ally XとROG Xbox Allyは、基本的なトリガーやABXYボタンなどの操作性は同じです。
背面マクロボタンも、両モデルともに搭載されています。
ただ、Xbox Ally Xは新たにインパルストリガーを採用しているのが特徴です。操作性にはそれほど影響がありませんが、ゲームの没入感に影響があります。

左右のトリガーで、独立した振動が得られるのが特徴です。ゲームの状況に応じた振動を左右別々で発生させることで、より没入感が高くなります。
バッテリーの違い

ROG Xbox Ally Xには、80Whの大容量バッテリーが搭載されています。
これによって、外出先でも比較的長時間使えるのが良いところです。
メーカーの公称値では、動画再生は約13.9時間、待機時は約22時間の稼働ができるとされています。
ゲームの場合は、当然そのゲームの負荷の重さによってプレイ時間が変わるものの、軽いゲームであれば長時間遊びやすいことは確かです。重めのゲームでも、1時間や2時間でバッテリーが切れるということはなく、快適に遊べます。
一方、ROG Xbox Allyのバッテリー容量は、60Whです。
バッテリー持ちは、動画再生で7時間程度、高負荷ゲームで2時間前後となっています。
サイズ・重量など携帯性の違い

本体サイズに関しては、どちらも違いはありません。
重量は、ROG Xbox Ally Xが715g、ROG Xbox Allyが670gと、45gの違いがあります。
ROG Xbox Ally Xのほうがバッテリー容量が大きく、メモリやストレージの容量が大きいうえにCPUもより高性能なものが使われているので、重量が重いのは当然です。そのうえ、インパルストリガーなど、ROG Xbox Allyのほうにはない機能も搭載されています。
むしろ、これだけの違いがあり45g程度の微増に留まっているのは、優秀です。
また、携帯性に関しては、ROG Xbox Allyのほうが優れていると言えます。
バッテリー容量が小さいという問題はありますが、性能から考えて軽いゲームや普段使いがメイン用途になることを考えれば、外出先でも十分持つ程度です。
価格の違い
- ROG Xbox Ally:8万9,800円(税込)
- ROG Xbox Ally X:13万9,800円(税込)
両モデルの価格差は、5万円です。
CPUおよび内蔵グラフィックの性能が大きく向上しているうえに、本モデルだけの機能も搭載。メモリやストレージなど、総合的に大きくなっていることを考えれば、妥当な価格差だと言えます。
ROG Xbox Allyのほうは性能面では当然負ける部分があるものの、持ち運びのしやすさが魅力的です。
軽いゲームなら快適にプレイできるうえに、バッテリー持ちも良好。外出先で快適にインターネットをしたり執筆作業をしたりしながら、たまにゲームもするという用途であれば、非常に優れていると言えます。
ROG Xbox Ally XとROG Ally X(2024)の違い

ここまで、ROG Xbox AllyとROG Xbox Ally Xの違いについて紹介してきました。同じシリーズの上位モデルと下位モデルということで、違いは大きかったです。
では、ROG Xbox Ally XとROG Ally X(2024)の違いが気になるところ。そこで今度は、この両モデルの違いについて、紹介していきます。
CPU性能の違い
ASUS ROG Ally Xでは、Ryzen Z1 Extremeを採用していました。
一方、ROG Xbox Ally XではRyzen AI Z2 Extremeを採用しています。
同一シリーズですが、Xbox Ally Xのほうが世代が新しく高性能です。
特に、NPUの有無が大きな違いになっています。Z1 ExtremeにはNPUが搭載されておらず、AIを用いた作業をするには不向きです。
さらに、シングルコア性能がZ2で大きく向上しています。ゲームや単純な作業時の処理性能が高いので、ポータブルゲーミングPCとしてより快適に使えるのが良いところです。
一方で、マルチコア性能は大幅な向上がありません。
また、CPUクロック速度に関しては、Z1 Extremeのほうが速いです。処理速度が高速という利点があるので、単純にZ2のほうが全体的に良いとは言えません。
グラフィック性能の違い

どちらも内蔵グラフィックを採用しています。
グラフィック性能に関しては、どちらもGTX 1650に肉薄する性能があるのが特徴です。それほど大きな違いはありません。
ただ、ROG Xbox Ally Xのほうが高いです。RTX3050と同等レベルの性能です。
中量級のゲームをプレイする際に画質設定を大幅に下げなくても快適に遊べるというタイトルが多くなっているので、ゲームをより快適に遊びたいならROG Xbox Ally Xのほうがおすすめだと言えます。
UIの違い

ROG Ally Xは、Windows 11をベースとしています。そこにASUSが設計した独自のカスタマイズランチャーであるArmory Crateを搭載しているのが、特徴です。
一方、ROG Xbox Ally Xには、Armory Crateはもちろん、XboxフルスクリーンエクスペリエンスというUIも搭載しています。
これは、Xbox Game Passとも統合されているのが特徴。Windows 11のフル機能ではなくて、ゲーム向けの機能だけを使えるというモードです。
機能をゲーム向けに特化することによって、消費電力や消費するメモリ容量などを抑えてゲームをより快適にプレイできるようになります。
そのうえ、XboxだけでなくSteamなど他社のストアのゲームも一元管理可能。

また、これはモードの一種という扱いです。
通常通り、Windows 11のフル機能を使えるモードもあります。

ゲーム向きのシステムモードが1つ追加されている、というイメージです。
拡張性の違い

メモリとストレージは同一ですが、ROG Xbox Ally Xのほうが拡張性が高いです。
ROG XG Mobileという、別売りの機器に対応しています。これは、ポートを拡張しながらグラフィック性能を向上させられる専用の外付けGPUです。
これを接続することで、最大でRTX 5090 Laptop GPU相当の性能になります。これは、2025年時点ではノートパソコン向けGPUで最高クラスの性能を持っているGPUです。
そのうえ、ポートが増えて作業がしやすくなります。
ROG Ally Xは、ROG XG Mobileに対応していません。
デザインの違い

ROG Ally Xでは、ROGシリーズらしいデザインが特徴的でした。
ゲーム機というよりも、ゲーミングPCチックな雰囲気が魅力。エッジの利いたデザインで、近未来的な印象があります。
一方、ROG Xbox Ally Xはゲーム機らしいデザインです。
Xboxコントローラーに近いボタン配置で、グリップ部が突出しているのもゲーム機らしい印象があります。Xboxコントローラーにディスプレイを挟み込んだかのような見た目で、ゲームを遊んでいるという感覚にさせてくれるのが良いところです。

そのうえ、グリップ感がより良好になっています。
価格に差はない
ASUS ROG Ally Xと、ASUS ROG Xbox Ally Xには価格差がありません。
どちらも、13万9,800円(税込)です。
その分、CPU以外の性能差はそれほど大きくありません。メモリおよびストレージの種類と容量は同じですし、デザインに関しては好みによるところが大きいです。グラフィック性能も、そのままの状態では大幅な向上とは言えません。
ただ、UIが追加されていたりCPUの処理性能が高くなっていたりと変更点や改善点も多いです。
歴代Allyモデルのベンチマーク

最後に、歴代モデルのベンチマーク結果を貼ります。Cinebench R23・2024、3D Mark、Crystal Disk MarkなどCPUやGPU、ストレージの速度を図るものから、個別ゲームでの測定、AI性能を図るGeekbench AIなど試しています。
ゲーム系ベンチのグラフィックプリセットやモードは最低品質にて、ACアダプターを接続した状態にてそれぞれのデフォルトのターボモード、解像度はFHDにて測定しています。
Cinebench R23

Cinebench 2024

3DMark(Steel Nomad Light)

Crystal Disk Mark

GeekBench AI

ドラゴンクエストX(低品質)

ファイナルファンタジー14(標準品質)

ファイナルファンタジー15(軽量品質)

モンスターハンターワイルズ
グラフィックプリセット:最低 / フレーム生成:Off

グラフィックプリセット:最低 / フレーム生成:On

ROG Allyシリーズはそれぞれこんな方におすすめ!
ここまで、ROG Allyシリーズ3モデルの違いを紹介してきました。ここまでの内容を踏まえて、各モデルがどんな方におすすめなのかについて紹介していきます。
ROG Ally Xからの買い替えについても解説するので、買い替えを検討している方もぜひご参照ください。
ROG Xbox Ally

- 重いゲームを遊ぶ予定がない方
- 動画編集などはせず普段使い程度に留める方
- 外出先で軽く使えるハンドヘルドデバイスを探している方
- ROG Ally Xの性能を持て余していた方
ROG Xbox Allyは、以上のような方々におすすめです。
重いゲームを遊ぶ予定がなかったり、動画編集など重い作業をしなかったりするのであれば、ROG Xbox Allyで十分だと言えます。軽めのレトロゲームやインディーゲームを外出先やベッドの上などで、気軽に遊びたいという用途にはぴったりです。
また、ROG Ally Xからの買い替えの場合、ROG Ally Xの性能を持て余していた方に最適だと言えます。
10万円未満で十分に使える性能のハンドヘルドデバイスが手に入るのが、ROG Xbox Allyの良いところです。
ROG Xbox Ally X

- 作業用PCとしても使いたい方
- 中量級以上のゲームも遊びたい方
- ROG Ally Xと同等以上の性能のモデルに買い替えたい方
ROG Xbox Ally Xは、以上のような方々におすすめです。
本機の最大の優位性は、CPU性能の高さと拡張性の高さだと言えます。NPU内蔵のCPUを搭載しており、AI作業にも使えるのは非常に魅力的です。
そもそものCPUの処理性能自体も高いため、AI作業以外ももちろん快適。画像編集や動画編集、配信など幅広い作業に使えます。
さらに、グラフィック性能も高いうえに別売りの機器を購入すれば、重量級ゲームも非常に快適に遊べるほどの性能にアップグレード可能なのも魅力的です。
作業にゲームにと、使い倒したい方に向いているモデルだと言えます。
また、ROG Ally Xからの買い替えでは、同価格帯で作業性能と拡張性がプラスされるのが大きな魅力です。
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ROG Xbox Ally X 購入レビュー! AAAタイトルもプレイ可能・手に持てる超本格ゲーミングPC
ROG Ally X(2024)

- AI作業はしないという方
- Xbox Ally Xほどの性能は不要な方
- デザインが好みという方
- 値下がりを待ちたい方
ROG Ally Xに関しては、現時点ではおすすめするのが少し難しいモデルです。
たとえば、Xbox Ally Xほどの性能は不要だとしても、定価が同一価格なのでXbox Ally Xのほうをおすすめします。
ただ、Xbox Ally Xの登場によって、ROG Ally Xの値下げを各販売店が行う可能性があり、それを待つのであればおすすめです。
そのうえ、買い替え需要による中古市場の流通増加も考えられます。
また、その性質から、「はじめてのポータブルゲーミングPCに比較的性能が高いモデルが欲しい」という方にもおすすめのモデルです。
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ASUS ROG Ally X(2024)レビュー! 操作性が良く利便性が高いポータブルゲーミングPC
まとめ

本記事では、ASUS ROG Ally XとROG Xbox Ally、ROG Xbox Ally Xの違い、2023年の初代モデルからの歴史や性能の変化について紹介してきました。
それぞれ細かな違いがあり、満たせる需要が違います。
大切なのは、違いを理解したうえで、自分の用途であればどれが最適かを考えることです。新規購入でも買い替えでも、今一度自分の用途や好みを再確認してみてください。
そのうえで、本記事を参考に自分に最適なモデルを選びましょう。


