Meta Quest 3Sレビュー! Quest 2・3との違いを踏まえメリット・デメリットを解説

Meta社が販売している、スタンドアローンVR機器のQuestシリーズ。一番安価なQuest 2と、上位モデルのQuest 3の中間の立ち位置に、Quest 3Sというラインナップが追加されました。

一見Quest 2の性能強化版とも、Quest 3の簡易版とも言えるようなモデルですが、純粋な廉価版とは言い切れない優秀な性能と機能を備えています。

Quest2は2025年1月現在公式サイトでは販売終了となっており、Amazon等ネットショップでの在庫販売のみとなります。

本記事ではそんなMeta Quest 3Sについて、Quest 3との違いを踏まえながらレビューしていくので、ぜひご参考ください。

目次

Meta Quest 3Sの基本的な仕様

まずは、Meta Quest 3Sの基本的な仕様について紹介していきます。スペック、外観、付属品などについて簡単に知りたい方は、ぜひご参考ください。

仕様

Meta Quest 2Meta Quest 3SMeta Quest 3
ディスプレイ解像度3664×1920
(片目1832×1920)
3664×1920
(片目1832×1920)
4128×4416
(片目2064×2208)
ディスプレイ
画素密度 / 角密度
LCD1枚
773PPI / 20PPD
LCD1枚
773PPI / 20PPD
LCD2枚
1058PPI / 22PPD
FOV(視野角)垂直90度・水平96度垂直90度・水平96度水平110度・垂直96度
光学系フレネルレンズフレネルレンズパンケーキレンズ
瞳孔間距離(IPD)
(調整)
58mm・63mm・68mm(固定3段階)58mm・63mm・68mm(固定3段階)53~75㎜
(無段階)
パススルーモノクロカラーカラー
SoCSnapdragon XR 2Snapdragon XR 2 Gen2Snapdragon XR 2 Gen2
RAM6GB8GB8GB
SSD64GB / 128GB / 256GB128GB/256GB512GB
重量503g514g515g
標準駆動時間2時間2.5時間2.2時間
コントローラーTouchコントローラーTouch PlusコントローラーTouch Plusコントローラー

以上が、Meta Quest 3Sの基本的な仕様です。

解像度は、Meta Quest 2と同等になっています。Quest 3は2064×2208pなので、Quest 3よりはやや解像度が低いです。とはいえ、一般的には綺麗に見える程度の解像度になっており、不足感はありません。

視野角は、Quest 2よりも水平視野角が伸びています。Quest 2は水平垂直ともに90度ですが、Quest 3Sは水平が96度に広がっており、より視認性が高くなっているのが特徴です。

光学系は、フレネルレンズ。これも、Quest 2と同等の仕様になっています。フレネルレンズは近距離での画像表示を効果的に行うためのレンズです。平たいレンズなので視野角を広げにくいのが、デメリット。解像度も、それほど高くしにくいです。

一方、Quest 3に搭載されているパンケーキレンズは視野角を広げやすく解像度を高めやすいのが利点。逆に、ピンボケが起こりやすいというデメリットがあります。

目のピントが合わずに酔いやすいのが、Quest 3のデメリットです。

Quest 3Sのスペックを見ると、Quest 3よりも一般向けになっているのがわかります。一般的に綺麗に見える程度の解像度と一般的に見やすい程度の視野角を備え、過不足なく、強烈なデメリットがないのが特徴です。

スペック上は、最も選びやすいVR機器だと言えます。

外観

Meta Quest 3Sのヘッドセットには、前面にカメラが3基ずつ、左右に2セット搭載されています。スマホの3連式カメラと同じような並びです。3基の内訳は、RGBカメラとVGAカメラ、フラッドLEDライトになっています。

ライトで照射して手の動きや空間を正確に認識し、RTGカメラでパススルー機能を実現。VGAカメラでは、空間構造や手、コントローラーなどの現実空間を認識しています。それぞれ役割分担して、MRを機能およびトラッキング機能を使っているということです。

デザイン的にはややチープに見えるものの、機能的には美しいデザインだと言えます。

Quest 3よりもどこかかわいらしい印象です。

全体的なデザインにチープ感があるのはシリーズで共通していますが、質感自体は高くなっています。実際に触ってみて安っぽいなと不満に思うことは、なかなかありません。

廉価版だということも、見た目ではわからなくなっています。

付属品

  • Meta Quest 3S ヘッドセット本体
  • Meta Quest Touch Plusコントローラー×2
  • コントローラー手首ストラップ
  • 単三電池
  • 電源アダプター
  • USB Type-Cケーブル
  • メガネスペーサー

以上が、Meta Quest 3Sの付属品です。

本機を使い始めるのに、最低限必要なものが揃っています。コントローラー用の単三電池も入っているので、届いたけど電池がなくてすぐに使えないということもありません。

さらに、スペーサーも付属しています。別途購入することなく、メガネをかけたままVRを楽しめるのがよいところです。

Meta Quest 3Sの良いところをレビュー

Meta Quest 3Sの基本的な仕様について、紹介してきました。今度は、Meta Quest 3Sの良いところについてレビューしていきます。本機の使い勝手やQuest 2や3と比べたときの利点などについて知りたい方は、ぜひご参考ください。

シリーズ通しての使いやすさがある

Beat Saber

Meta Quest 3Sには、シリーズを通してのVR機器としての使いやすさがあります。

まず、PCと接続する必要がありません。スタンドアローンで動作するため、気軽に起動して楽しめるのがよいところです。PCでVRを楽しむには、それ相応にスペックの高いPCも必要になりますし、接続など面倒なことが増えます。

一方、PC VRのみに対応しているゲームで遊べないというデメリットはあるものの、VR ChatやBeat Saberなど の人気タイトルは本機だけでも十分楽しめるので、ライトにVRで楽しみたいという方には最適です。映像視聴に関しては、手軽さというメリットをさらに大きく感じられます。

さらに、コントローラーが使いやすいです。手元が見えなくとも押し間違えることがなく、押したいボタンを的確に押せます。

動きの反映がぎこちなくなることもなく、非常に使いやすいです。

このような、Meta Questシリーズを通してのVR機器としての使いやすさはしっかりと継承しています。

MRが格安で楽しめる

Meta Quest 3Sは、MR技術に対応しています。

MRは、Mixed Realityの略です。日本語では、複合現実と呼ばれています。現実世界をVR空間に表示させるのが、Meta Quest 3SのMR機能です。

現実の空間をVR空間に重ねて表示できることの大きなメリットは、安全の確保。日本家屋やアパートは、VRを楽しむのに向いているとは言えません。海外と比べて、狭い部屋が多いためです。

そのうえ、VRを楽しんでいると知らず知らずのうちに足が動いています。最初の安全な位置からずれることがありますが、確認するにはいちいちヘッドマウントディスプレイを外さないといけません。

Meta Quest 3Sは、ヘッドマウントディスプレイを外さずとも現実空間を認識できます。これが非常に便利です。

こうしたMR機能を搭載した機器は高額になりがちですが、Meta Quest 3Sは比較的安価。格安でこうした便利機能を使ってVRを思う存分楽しめるのが、Meta Quest 3Sの良いところのひとつです。

優れたハンドトラッキングを搭載

Meta Quest 3Sは、ハンドトラッキングに対応しています。

コントローラーではなく、手の動きを認識してVR空間上の動きに反映させる機能です。

Meta Quest 2でも対応していた機能ですが、より進化しています。精度が高くなっており、手が不自然にプルプルと震えたり突然変な動きになったりしません。

上位モデルのQuest 3との差は、体感できない程度です。

この点は、Quest 2から買い替えたときに感動する点だと言えます。ハンドトラッキングを使ったゲームをより楽しめるようになるのが、良いところです。

Quest 3にはないアクションボタンが便利

Meta Quest 3Sには、アクションボタンが搭載されています。

これは、Quest 2およびQuest 3には搭載されていない機能です。

左Quest3、右Quest3S

アクションボタンは、パススルー機能のオンオフを切り替えるために使います。パススルーというのは、ゴーグルを付けた状態で現実世界を認識するMR機能のことです。

Quest 3では、これを起動するためにゴーグル側面を2回叩かなければなりません。力加減を誤ったり場所を間違えたりして、スムーズに起動しないことがあります。これが、ユーザーの不満のタネでした。

そのうえ、起動に時差があるため、起動に失敗したと誤解してもう一度叩いてしまい、オフになるということもあります。

Quest 3Sでは、アクションボタンを搭載することにより、その不満点を改善しているのが大きなメリットです。ボタンを押すという動作はタッチよりもオンオフがわかりやすく、間違えにくいのがよいところ。そのうえ、起動もスムーズになっています。

Quest 3よりバッテリー駆動時間が少し長い

Meta Quest 3Sが、他の二つと比べて優れている点の一つとして、バッテリー駆動時間の長さがあります。

Quest 2のバッテリー駆動時間は、2時間でした。Quest 3は、2.2時間です。

Meta Quest 2と比べると、30分伸びています。たかが30分と思うでしょうが、2時間と2時間半の差は使ってみると案外大きいです。

たとえば長編映画やVtuberの3Dライブ配信など、長めのコンテンツを見たい場合、2時間では足りないということがしばしばあります。2時間半でもコンテンツによっては不足しているものの、見られるコンテンツの数は多いです。長編映画であれば、多くの作品は連続視聴可能になります。

さらに、ゲームやVR Chatで遊ぶ際にも、30分の差は意外と大きいです。

Meta Quest 3Sの気になるところをレビュー

Meta Quest 3Sの良いところについて、レビューしてきました。今度は、Meta Quest 3Sの気になるところについて、レビューしていきます。メリットとデメリットの両方を知りたい方は、ぜひご参考ください。

パススルー映像処理がQuest 3より簡略化された

Quest3より劣るといえど、Quest3Sでもここまで鮮明に見える

Meta Quest 3Sは、Quest 3と比べてパススルーの映像処理が簡略化されています。

Quest 3には、高度なRGBカメラが搭載されており、これがより鮮明かつ正確なパススルー映像の提供を可能にしていました。

3Sもフルカラーパススルーに対応しているものの、性能がQuest 3より抑えられているのか、映像処理の一部が簡略化されています。主に背景補正処理、映像の繊細さなどの点でQuest 3に劣ってしまう部分があるので、注意が必要です。

ただ、日常的な用途には十分な性能になっています。ゲームプレイ中に周囲の様子をチラリと確認する程度の用途であれば、何も問題がありません。

深度センサーが非搭載

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Meta Quest 3Sには、深度センサーが搭載されていません。

Quest 3では、RGBカメラに加えて深度センサーが搭載されていました。これによって、手や物体の動きのトラッキングがより正確になっていたのがQuest 3の特徴です。複雑な操作でも、しっかりとトラッキングされるため、快適。

一方、Quest 3Sには非搭載なので、トラッキング精度はスペック上はQuest 3より劣ります。

ただ、実際に使ってみるとハンドトラッキングに関してはそれほどの差は感じにくいです。普通にゲームを遊んだりVR Chatで交流したりする分には、気になりません。

Meta Quest 3はこんな方におすすめ!

  • 500GB以上の大容量は不要だという方
  • パススルーは安全確認程度に使う方
  • はじめてVR機器を購入する方
  • Quest 2からの買い替えを検討している方

Meta Quest 3Sは、以上のような方々におすすめです。

特におすすめなのは、はじめてのVR機器として購入しようと考えている方。Meta Quest 2は出たのが前ということもあり、機能的に不便な点があります。パススルーが白黒で精度が低かったり、バッテリー持続時間が短かったりして今購入すると不満点が目立つことは否めません。

一方、Meta Quest 3Sは価格を抑えながらフルカラーで精度が高めのパススルーを搭載していたり、バッテリー持続時間が長くなっていたりと利点が多いです。

価格が安いのはQuest 2ですが、コストパフォーマンスは3Sのほうが高いと言えます。

Quest2は2025年1月現在公式サイトでは販売終了となっており、Amazon等ネットショップでの在庫販売のみとなります。

まとめ|大容量が不要な方の最良の選択肢

Meta Quest 3Sは、Meta Quest 2と3のちょうど中間のような性能と機能を備えたVR機器です。

VR機器は年々機能と性能が強化されていますが、どんどん高価になっている部分があります。Meta Quest 3も比較的安価に買えた容量を抑えたモデルが無くなり、約8万円の512GBモデルのみの設定です。スタンドアローンのVR機器は、ゲーム機として考える人が多いですが、ゲーム機にしては高価。

一方Meta Quest 3Sは機能と性能が抑えられてはいるものの、アクションボタンなど一部機能はQuest 3より勝っている部分もあります。

大容量が不要な方にとっては、Meta Quest 3Sは最良の選択肢の一つです。

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