【DAIV CX-A9A60】Ryzen AI Max+ 395で画像生成を試す|VRAM 96GBにFLUX.2 Devを載せてRTX 3090と比較

DAIV CX-A9A60 は、Ryzen AI Max+ 395 と 128GB のメモリを積み、そのうち最大 96GB を VRAM に回せる小型デスクトップです。

画像生成のモデルは大きくなり続けていて、FLUX.2 Dev は本体だけで 64.4GB あります。RTX 3090 の 24GB の VRAM には、そのままでは収まりません。

そこで、手元の RTX 3090 搭載PC と同じ ComfyUI を入れ、同じプロンプトで画像を作り比べました。

大きいモデルで画像を作りたい人が、GPU を積んだ PC とどちらを選ぶかを決めるための検証です。本記事では、速さ・画質・メモリの使われ方・音を2台で比べた結果を紹介していくので、ぜひご参照ください。

※本レビューはマウスコンピューター様より製品をお貸しいただきレビューしています

目次

検証の環境と条件

DAIV CX-A9A60 の比較には、RTX 3090 を積んだ HP の OMEN 30L を使用しました。

項目DAIV CX-A9A60RTX 3090 搭載PC(HP OMEN 30L)
CPURyzen AI Max+ 395(16コア32スレッド)Core i9-10850K
メモリ128GB LPDDR5X-8000(うち 96GB を VRAM に割り当て)64GB DDR4-3200
GPU・VRAMRadeon 8060S(CPU内蔵)/96GBGeForce RTX 3090/24GB
OSWindows 11(26H2)Windows 11(25H2)
PyTorch2.13.0(ROCm 10.0.0)2.13.0(CUDA 13.0)
ComfyUI0.42.00.42.0
計測に使ったスクリプトの画面。上が DAIV、下が RTX 3090 の PC で、どちらも ComfyUI 0.42.0・PyTorch 2.13.0

画像を作るソフトは、どちらも ComfyUI 0.42.0 です。同じ版にそろえ、同じワークフローを読み込ませて比べました。

モデルのファイルは、2台とも NVMe SSD に置いています。DAIV CX-A9A60 は、出荷時と同じ VRAM 96GB、パフォーマンスモードで測りました。

AMD は、公式の Windows 向けインストーラーで ComfyUI を使う場合、128GB の Ryzen AI Max+ 機は VRAM を 64GB にするよう勧めています。今回は、64GB を超える FLUX.2 Dev の bf16 の本体を VRAM に載せるため、96GB のまま使いました。

本機の仕様や、ローカル LLM を動かした結果は、こちらの記事で紹介しています。

Ryzen AI Max+ 395 搭載 DAIV CX-A9A60 レビュー|VRAM 96GB で大きな AI モデルをローカルで動かす小型デスクトップ

試したモデルは、画像が5通り、動画が1通りです。

モデル形式と容量ステップ数
FLUX 3 Image Klein(蒸留版)bf16・11.1GB16
FLUX 3 Image Klein(base)bf16・11.1GB50
FLUX.1 Devフル精度・本体 23.8GB+テキストエンコーダー 9.79GB など20
FLUX.2 Dev(fp8)本体 fp8 35.5GB+テキストエンコーダー bf16 35.6GB20
FLUX.2 Dev(bf16)本体 bf16 64.4GB+テキストエンコーダー fp8 18GB20
Wan 2.2 14B(動画)fp8・640×640・81フレーム(5秒)4

bf16 はモデルの元の精度、fp8 は数値の桁を減らして容量を小さくした形式を指します。テキストエンコーダーは、プロンプトの文章をモデルが扱える形に変える部分です。

FLUX.2 Dev は、2つの組み合わせで試しました。どちらも、本体とテキストエンコーダーの片方を fp8 にした形です。

ライセンスは、FLUX 3 Image Klein が FLUX Kommunity License で、年商500万ドル未満なら商用でも使えます(関連会社の扱いなど細かい条件は、ライセンス本文で確認してください)。FLUX.2 Dev は FLUX Non-Commercial License なので、仕事で使う場合は条件を確認してください。

動画の Wan 2.2 は、生成を4ステップに縮める LoRA を使う設定にしました。ComfyUI のテンプレートに用意されている設定です。

プロンプトは、

  • ゲームコントローラーの商品写真
  • ソファでコントローラーを持つ女性と猫
  • 雨上がりの港町
  • ゴルフの場面 × 6シーン

の計9種類。それぞれ seed(乱数の種)を 1001〜1008 の8通りにして、1つのモデルで72枚を作っています。

ただし、RTX 3090 の PC の FLUX.2 Dev(bf16)は11枚で止めました。表の2つとは別に、本体とテキストエンコーダーを両方とも bf16 にした組み合わせ(合計約100GB)も試しました。本機では動かず、RTX 3090 の PC では試していません。

画像の大きさは、すべて 1024×1024。動画は、アーケードコントローラーを操作する両手の場面を2本作りました。

速さは、コントローラーの商品写真8枚のうち、2〜8枚目の生成時間の平均で比べます。1枚目はモデルの読み込みを含むので、除きました。

画質は、生成した画像を目で見て判定しています。同じ PC では、ほかのアプリの起動の有無などを変えても、同じ seed なら画素単位で同じ画像になりました。

Windows で ComfyUI を動かすまで

DAIV での ComfyUI 0.42.0 の起動画面

ComfyUI の公式の説明では、Windows の AMD 環境は、ROCm 10.0.0 版の PyTorch 2.13 と Python 3.13 を使う形です。Ryzen AI Max / Max+ 向けには、専用のパッケージ(device-gfx1151)が用意されています。

AMD が挙げる ROCm 10.0.0 の前提は、以下の通りです。

  • Windows 11 25H2
  • AMD Software: Adrenalin Edition 26.8.1
  • HIP SDK を削除しておく
  • Windows Defender Application Guard(WDAG)をオフにする
  • スマートアプリコントロールをオフにする
  • Python 3.11〜3.14

本機は届いた時点で、スマートアプリコントロールがオフで、HIP SDK も入っていませんでした。前提をそろえるために変えたのは、Adrenalin を 26.5.2 から 26.8.1 に更新したことと、Python 3.13 と git を入れたことです。

本機の Windows は 26H2 で、AMD の対応表にある 25H2 より新しい版です。この状態で ComfyUI を動かし、画像も作れました。

ROCm 10.0.0 版の PyTorch は pip でインストールでき、約2分で終わっています。

手間取ったのは、ドライバーとモデルの入手の2点です。

Adrenalin 26.8.1 は、AMD の配布ページにあるリンクをクリックしてダウンロードします。ダウンロード先の URL を直接開くと、AMD 側で拒否されました。

Hugging Face の FLUX.2-dev のページ

FLUX.2 Dev は、Hugging Face で利用条件に同意したアカウントでないと、ダウンロードできません。コマンドで取得する場合は、そのアカウントのアクセストークンも必要です。

Linux を入れずに、Windows のままで ComfyUI が動き、FLUX.2 Dev まで読み込めています。

速さはどのモデルでも RTX 3090 が上

DAIV の計測結果
RTX 3090 の PC の計測結果

1024×1024 の画像を1枚作るのにかかった時間を、表にまとめました。

モデルDAIV CX-A9A60RTX 3090 搭載PC差
FLUX 3 Image Klein(蒸留版)23.56秒10.74秒2.19倍
FLUX 3 Image Klein(base)137.17秒62.87秒2.18倍
FLUX.1 Dev51.65秒23.77秒2.17倍
FLUX.2 Dev(fp8)240.79秒92.50秒2.60倍
FLUX.2 Dev(bf16)233.09秒127.95秒1.82倍

試した5通りすべてで、RTX 3090 の PC のほうが速い結果でした。差は1.82〜2.60倍で、多くのモデルが約2倍です。

5秒の動画を作る Wan 2.2 も、本機は1本目 275.68秒・2本目 268.33秒、RTX 3090 の PC は 123.35秒・115.89秒。動画でも、RTX 3090 の PC が2倍以上速く仕上げました。

差の原因は1つに絞れません。GPU の演算性能、メモリから読み出す速さ(帯域)、ROCm と CUDA の最適化の差が重なった結果と考えられます。

帯域は、本機のメモリが計算上 256GB/s、RTX 3090 の VRAM が 936GB/s です。

本機では、FLUX.2 Dev の bf16 の組み合わせが 233.09秒で、fp8 の組み合わせ(240.79秒)よりわずかに短く終わりました。2つはテキストエンコーダーの精度が逆なので、本体の精度だけの差ではありません。

AMD の技術ブログでは、同じ Ryzen AI Max+ 395 と 128GB のメモリを積んだ機種で、ROCm 7.2.1 の ComfyUI を測っています。メモリの速さ(ブログの機種は 8533MT/s)と ComfyUI の版は、今回と同じではありません。比べたのは、どちらもモデルを読み込んだあとの2回目以降の値です。

条件AMD のブログ(ROCm 7.2.1)本機(ROCm 10.0.0)
FLUX.1 Dev(フル精度・1024×1024・20ステップ)77.56秒51.65秒
Wan 2.2 14B(fp8・640×640・81フレーム・4ステップ)26分51秒268.33秒

同じチップでも、ROCm や ComfyUI の版によって速さは大きく変わります。ROCm は 10.1.0 も公開されていますが、今回は試していません。

1枚ずつプロンプトを直していくなら、RTX 3090 の PC は待ち時間がおよそ半分で済みます。

画質:指示にいちばん近かったのは FLUX.2 Dev

同じモデルに同じ seed を与えると、本機と RTX 3090 の PC でほぼ同じ絵になりました。画質を決めるのは PC ではなくモデルなので、判定はモデルごとに行っています。

コントローラーの商品写真

左から Klein 蒸留版/Klein base/FLUX.1 Dev/FLUX.2 Dev fp8/FLUX.2 Dev bf16(上下は seed 違い)

プロンプトでは、胡桃材の机に置いた黒いワイヤレスコントローラーを指定しました。ボタンは紫の半透明で、背景の壁に「GAMING PAD」のネオンサインを入れる注文です。

Klein の2つは、十字キーがボタンの形になり、ボタンの文字もばらばらでした。base のほうが、形はいくらかきれいです。

FLUX.1 Dev は、十字キーとボタンを正確に描きます。ただ、斜めから写した構図では形が崩れ、ネオンがぼけて読みにくい画像もありました。

FLUX.2 Dev は、プラスチックの質感が本物に近い仕上がり。fp8 と bf16 はほぼ同じ出来で、どちらにもボタンの文字が「ABXX」になる画像が混じりました。

ソファでコントローラーを持つ女性と猫

左から Klein 蒸留版/Klein base/FLUX.1 Dev/FLUX.2 Dev fp8/FLUX.2 Dev bf16(上下は seed 違い)

夜のソファで、30代の日本人女性がコントローラーを両手で持つ場面です。顔にテレビの青い光が当たり、隣のクッションで猫が寝ている様子も指定しました。

Klein の2つは、女性が40〜50代に見え、しわも多く描かれています。手の形に違和感があり、猫はぼかしてごまかしたような絵です。

FLUX.1 Dev は、女性が20代に見えるほど若くなります。部屋の明かりをつけずに遊んでいるような暗さです。

FLUX.2 Dev は、指定どおり30代の女性に見えました。手やコントローラーに崩れがなく、猫も自然に描けています。

雨上がりの港町

左から Klein 蒸留版/Klein base/FLUX.1 Dev/FLUX.2 Dev fp8/FLUX.2 Dev bf16(上下は seed 違い)

雨上がりの夕暮れの港町を、観覧車・赤レンガ倉庫・濡れた路面の反射・高層ビルの灯り・傘をさして歩く人まで指定して描かせました。

Klein の2つは、赤レンガ倉庫を並べすぎて、町全体が赤レンガのようになっています。傘をさす人とささない人が半々の画像もありました。

FLUX.1 Dev は、観覧車の位置など、構図に不自然さが残ります。中央に水のない川のようなものがあり、道路と混ざったような絵でした。

FLUX.2 Dev は、構図に不自然なところがなく、使えそうな画像が何枚もあります。

fp8 と bf16 の差は小さい

fp8 は1つの数値を8ビットで持つ形式で、16ビットの bf16 に比べて本体の容量は約半分です。本機で使った VRAM の最大値は、fp8 の組み合わせが 68.31GB、bf16 の組み合わせが 79.34GB です。

それでも、3つのプロンプトとも画質の差は小さく見えました。これから始めるなら、容量の小さい fp8 で十分です。

メモリ:RTX 3090 は足りない分をメインメモリから借りて動く

VRAM は GPU が使う専用のメモリで、メインメモリは CPU や Windows が使うメモリです。本機は 128GB のメモリを、VRAM(96GB)と Windows 側(32GB)に分けて使っています。

生成中に使った VRAM の最大値を、モデルごとに並べました。

モデルDAIV CX-A9A60RTX 3090 搭載PC(VRAM 24GB)
FLUX 3 Image Klein(蒸留版)18.31GB19.05GB
FLUX 3 Image Klein(base)18.59GB19.13GB
FLUX.1 Dev38.25GB23.58GB
FLUX.2 Dev(fp8)68.31GB22.95GB
FLUX.2 Dev(bf16)79.34GB専用 22.5GB+共有 25.8GB
Wan 2.2 14B(動画)37.12GB21.08GB

※ RTX 3090 の FLUX.2 Dev(bf16)の行のみ、タスクマネージャーで見た共有 GPU メモリも併記しています。

FLUX.1 Dev から先は、モデルが RTX 3090 の 24GB に収まりません。それでも RTX 3090 の PC は、エラーを出さずに最後まで画像を作りました。

RTX 3090 の数値が 24GB を超えないのは、GPU 専用の VRAM だけを測った値だからです。

ComfyUI は、VRAM に入りきらない部分をメインメモリ側に置いて動かします。タスクマネージャーでは、この分が「共有 GPU メモリ」として表示されました。

FLUX.2 Dev の bf16 を生成中の RTX 3090。専用 GPU メモリ 22.5/24.0GB、共有 GPU メモリ 25.8/47.9GB
同じときのメインメモリ。コミット済み 71.9/73.9GB

FLUX.2 Dev の bf16 では、専用 GPU メモリ 22.5GB に加えて、共有 GPU メモリを 25.8GB 使っています。メインメモリのコミット済みは 73.9GB 中 71.9GB で、残りは 2GB ほどでした。

コミット済みの上限(73.9GB)は、メインメモリ 64GB に、Windows がストレージに作るページファイルの分を足した値です。

RTX 3090 の PC はメインメモリが 64GB あったので、この動かし方で最後まで完走できました。メインメモリが少ない PC では、同じモデルを同じように動かすのは難しいと考えられます。

RTX 3090 の PC では、FLUX.2 Dev の bf16 の組み合わせが 127.95秒で、fp8 の組み合わせ(92.50秒)より長くかかりました。2つはテキストエンコーダーの精度も逆なので、何が時間を延ばしたのかは切り分けられていません。

本機は、FLUX.2 Dev の bf16 の組み合わせで最大 79.34GB を使い、すべて VRAM の中で動かしました。

本体もテキストエンコーダーも bf16 にした FLUX.2 Dev。1枚目でエラー

本体とテキストエンコーダーを両方とも bf16 にすると、合計は約100GB です。この組み合わせは、本機でも動きませんでした。

VRAM 96GB・Windows 側 32GB の設定で、ComfyUI の読み込み方を2通り試しています。どちらも、モデルを読み込む途中で止まりました。RTX 3090 の PC では、この組み合わせは試していません。

RTX 3090 でも、大きいモデルはメインメモリを借りて動きます。ただし、今回の 64GB の PC では、残りが 2GB ほどで余裕はありませんでした。

FLUX.2 Dev を、静かに一晩回し続けられる

72枚を約4.7時間、止まらずに作り続けた

FLUX.2 Dev の bf16 で 72枚を作り終えたときの表示。計測7回の平均 233.09秒、VRAM 最大 79.34GB

本機で、FLUX.2 Dev の bf16 を使って 72枚を続けて作りました。夜7時35分に始め、終わったのは0時16分です。

1枚目はモデルの読み込みを含めて 249.9秒。2枚目からは、72枚目まで 232.07〜235.13秒の間に収まりました。

約4.7時間のあいだ、エラーで止まることはなく、1枚あたりの時間もほとんど変わっていません。プロンプトと seed をまとめて渡しておけば、PC の前にいなくても FLUX.2 Dev の画像が作られていきます。

RTX 3090 の PC では、同じ 72枚は試していません。FLUX.2 Dev の bf16 は、11枚を作ったところで止めています。

生成中も 41dBA 台

本機、FLUX.2 Dev の bf16 を生成中に 41.4dBA
RTX 3090 の PC、同じモデルを生成中に 53.5dBA

騒音計(wintact WT85)を本体の正面から10cm の位置に置き、FLUX.2 Dev の bf16 を生成している間と、止めたあとの音を測りました。

アイドル時生成中
DAIV CX-A9A6031.9dBA41.4〜41.6dBA
RTX 3090 搭載PC38.6dBA53.5dBA

本機は机の上で、正面の中央にまっすぐ向けて測っています。RTX 3090 の PC は床に置き、正面の左寄りから斜めに測ったので、数値は目安です。

本機のアイドル時、31.9dBA
RTX 3090 の PC のアイドル時、38.6dBA

生成中の差は約12dB で、アイドル時も約7dB の差がありました。

消費電力

消費電力は測っていないため、仕様に書かれた上限を表にしました。

DAIV CX-A9A60RTX 3090 搭載PC
電源250W の AC アダプター750W(NVIDIA が RTX 3090 に推奨する電源容量)
チップ・GPURyzen AI Max+ 395:TDP 55W(設定により45〜120W)RTX 3090 単体:350W

上限は、実際に使う電力とは別の数字です。RTX 3090 の PC は1枚を約半分の時間で作るので、1枚あたりの電力量はこの表からは比べられません。

幅70mm の本体で回せる

本体の大きさは幅70×奥行198×高さ200mm(突起物を除く)、重さは約1.98kg です。脚などを含めた設置幅は 78.5mm。

FLUX.2 Dev の bf16 を VRAM に載せて回すために、大きなケースの PC を置く必要はありません。

どのモデルでも崩れた題材:ゴルフと動画

ゴルフは6場面とも、ほぼ使えなかった

ゴルフでは、右打ちの女性ゴルファーを、ティーショットからパターまでの6つの場面で描かせました。場面ごとに、使うクラブとピンまでの距離も指定しています。

全場面で、左手に白いグローブをはめ、グリップは左手が上・右手が下になるよう指定しました。

結果は、5つのモデルとも、ほぼ使えない画像でした。左右の手の上下が逆になり、グローブが下の手に付いた絵が出ます。

打つ場所やピンまでの距離感も、場面と合いません。ボールが2個になったり、影が途中で切れたりする画像もありました。

手の順番がたまたま合った画像もあり、アイアンとアプローチは数枚が使える出来です。それでも、6つの場面を通して使えるモデルはありませんでした。

動画は、映像が崩れて使えなかった

生成した2本の動画の画面。再生すると映像が破綻した

動画は、Wan 2.2 14B で、アーケードコントローラーを操作する両手の場面を2本作りました。生成を4ステップに縮める LoRA を使い、640×640・81フレーム(5秒)の設定です。

2本とも映像が崩れていて、記事に載せられる動画にはなりませんでした。LoRA を使わない20ステップの設定は、今回は試していません。

動画と、手の向きやクラブの持ち方のように決まりごとの多い絵は、いまのモデルに期待しすぎないほうが無難です。

LoRA の学習は、ComfyUI 標準の機能では動かなかった

学習中に Windows の空きメモリが 5.5GB まで減り、ComfyUI を止めたときの表示。GPU が使ったメモリの最大値 99.35GB

ゴルフのように崩れる題材は、LoRA でモデルに覚えさせる方法があります。LoRA は、元のモデルに追加で学習した差分を、小さなファイルとして足して使う仕組みです。

そこで、ComfyUI に標準で入っている学習機能(Train LoRA ノード)で、FLUX.2 Dev の LoRA を作れるかを試しました。画像4枚・10ステップの、動くかどうかを見るための小さな学習です。

試した設定結果
本体 bf16・画像 1024メモリ不足のエラー
本体 fp8・画像 1024PC 全体が固まった(VRAM 64GB に下げた2回目は、約100GB で ComfyUI が落ちた)
本体 fp8・画像 512PC 全体が固まった
本体 fp8・画像 512・量子化した学習約100GB で止めた
本体 fp8・画像 512・メインメモリへの退避約100GB で止めた

どの設定も、メモリが足りなくなって先へ進めませんでした。使ったメモリを測れた3回は、どれも約100GB に達しています。

止まったのは、どれも10ステップの1歩目に入る前後です。

固まった2回は、電源ボタンの長押しで再起動しました。後半の2通りは、Windows の空きメモリが6GB を切ったら ComfyUI を止める仕組みを足して試しています。

VRAM の割り当てを 96GB から 64GB に下げても、止まるまでに使ったメモリの合計はほぼ同じでした。本機は VRAM と Windows 側で 128GB を分け合うので、割り当てを変えても合計の上限は 128GB のままです。

ComfyUI 以外の学習ツールと、RTX 3090 の PC での学習は試していません。ComfyUI 標準の機能では、128GB のメモリでも FLUX.2 Dev の LoRA は作れませんでした。

LoRA の学習で画質を上げられるかは、時間が取れたら改めて検証します。Stable Diffusion 系のような小さいモデルなら、本機でも学習して画質を上げられる可能性があると考えています。

Ryzen AI Max+ 395 が向く人・向かない人

ここまでの結果を、使い方ごとに整理しました。

使い方合う PC
1枚ずつ結果を見ながらプロンプトを詰めるRTX 3090 搭載PC(約2倍速い)
FLUX.2 Dev の bf16 で、時間をかけて大量に作るDAIV CX-A9A60(モデルを VRAM に収めて、生成中 41dBA 台)
動画を作る今回の設定では、どちらも使える映像にならなかった
LoRA を学習するComfyUI 標準の機能では本機も不可。RTX 3090 は未試験

速さを最優先するなら、RTX 3090 クラスの GPU を積んだ PC が合います。ただし、FLUX.2 Dev の bf16 まで使うなら、メインメモリにも余裕が要ります(今回の 64GB の PC では残り約2GB)。

本機が合うのは、大きいモデルを静かに長く回したい方。GPU を積んだ PC にメインメモリを足して、大きな電源を用意する手間もかかりません。

本機は、gpt-oss-120b のような大きな LLM も動かせるので、LLM と画像生成を1台でまかなえます。

一方で、本機の価格は 949,800円(税込)からです。画像生成だけが目的なら、同じチップを積んだ安い機種も含めて比べる価値があります。

まとめ

本記事では、DAIV CX-A9A60 で画像生成を試し、RTX 3090 搭載PC と比べた結果を紹介してきました。

DAIV CX-A9A60 は、128GB のメモリのうち最大 96GB を VRAM に回せる小型デスクトップです。今回の検証では、FLUX.2 Dev の bf16 の組み合わせを VRAM に収めたまま、72枚を約4.7時間、止まらずに作り続けました。

生成中の音は 41.4〜41.6dBA で、RTX 3090 の PC の 53.5dBA より約12dB 低い値です。

一方で、画像1枚にかかる時間は、どのモデルでも RTX 3090 の PC の1.8〜2.6倍でした。動画とゴルフの画像は崩れ、ComfyUI 標準の機能では LoRA も学習できていません。

本機をおすすめできるのは、次のような方です。

  • FLUX.2 Dev のような大きいモデルを、すべて VRAM に収めて動かしたい方
  • プロンプトをまとめて渡して画像を大量に作り、そのあいだの音を抑えたい方
  • ローカル LLM と画像生成を、小さな1台でまかないたい方
  • Linux を入れずに、Windows のまま ComfyUI を使いたい方

FLUX.2 Dev のような大きい生成モデルを、静かに回し続けられる小型デスクトップ。VRAM が足りずに大きいモデルをあきらめていた方は、ぜひ検討してみてください。

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