Steam Deckの存在もあり、近年は携帯ゲーミングPCが注目を集めています。各社が追随し、さまざまな携帯ゲーミングPCを発売していますが、ASUSも2023年6月に参戦。
ゲーミングPCやゲーミングデバイスなどを手掛けるASUSの製品ということで、注目されています。
ただ、携帯ゲーミングPCは賛否両論あることがほとんど。評価を知らずに買うと、失敗することもよくあります。
そこで今回は、ASUS ROG Allyのスペックやデザインなどを紹介したうえで、実際に使った感想、良いところとイマイチなところについてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
本記事はASUSさんからROG Allyをお借りして執筆しています
ROG Allyの基本仕様や外観レビュー
ROG Allyは、ASUSから2023年6月14日に発売された携帯型ゲーミングPCです。Switchなどのようなモニター一体型の外観で、SteamなどのPCゲームを動かせるのが特徴。まずは、そんなROG Allyのスペックと外観、付属品について紹介していきます。
ROG Allyのスペック
- OS:Windows 11 Home 64bit
- CPU:Ryzen Z1 Extreme
- メモリ容量:16GB
- ストレージ:512GB SSD
- ディスプレイ:7.0型ワイドTFTカラー液晶
- 表面仕様:グレア
- 解像度:フルHD(1,920×1080)
- タッチパネル搭載
- グラフィックス機能:AMD Radeon グラフィックス
- 外部ディスプレイ出力:最大8K(7,680×4,320)
- スピーカー:ステレオスピーカー内蔵(1W×2)
- マイク:アレイマイク内臓
- センサー:加速度センサー、ジャイロセンサー搭載
- バッテリー駆動時間:約10.2時間
- バッテリー充電時間:約1.6時間
- 消費電力:最大約65W
- サイズ:幅280.8mm×奥行111.38mm×高さ21.22~32.43mm
- 質量:608g
- 保証期間:購入日から12ヵ月間
搭載されているCPUは、AMD社のRyzen Z1 Extreme。8コア16スレッド、最大5.1GHzという性能のCPUです。
携帯ゲーミングPCに搭載されるCPUとしては、最高クラスの性能を誇ります。処理性能が高いので、ゲームもブラウジングも快適。携帯ゲーム機をスマホのように使い、インターネットを楽しむこともできます。
さらに、タッチパネルやマイク、ジャイロセンサーなど欲しい機能がたいてい揃っているのもいいところです。
1.6時間の充電で10.2時間動かせるというのが、優れている点です。短い充電でもしっかり遊べます。
ただ10.2時間というのはカタログ値であってゲームプレイしているとそこまで持ちません。(後ほど解説します)
ROG Allyの外観
ROG Allyのデザインは、ASUSらしさに溢れています。ASUSらしくグラデーションで光り、細かく吸気口が入っているデザイン。光るのは左右スティックの周りだけなので、そこまで目立ちません。プレイ中は指で隠れます。
光るのがあまり好みではないという方でも、安心です。
ボディの素材は、ハードプラスチック。一般的なプラ素材よりも耐久性が高いです。素材の質感の安っぽさも、特に感じられません。
ボタン配置は、Xbox系準拠です。
Switchと比較すると本体が大きいので、ボタン類が上のほうに寄っているように見えます。実際にはSwitchのジョイコンとあまり変わらない位置関係なので、Switchを携帯モードで使うことが多いユーザーはあまり違和感を抱かないでしょう。
また、背面はグリップ部が盛り上がったデザインです。
これにより保持力が高くなります。
Switchと比較しても寝ころびながら遊びやすく顔に落してしまうことは少ない印象です。
背面にはASUSのロゴの形をした通気口があり、中心に斜めに光るラインが入っているデザインです。
吸気口の隣にあるのは、マクロボタン。さまざまな機能を割り当てて便利に使えます。
ROG Allyの付属品
- Ally本体
- 65W電源アダプター
- スタンド
- 説明書
- 保証書
ROG Allyの付属品は、非常にシンプルです。本体とアダプター、スタンドだけで、あとはドキュメント類という構成。
電源アダプターは、ケーブルとの一体型になっています。
スタンドは、あくまでも簡易的なものです。デスクに立てて置いておくためのものといった感じ。
角度調整なども一切なく、収納型でもないのでSwitchのテーブルモードのように使うのには不便です。
総じて、必要十分な内容物といったところ。
ROG Allyの良いところをレビュー
ここまで、ROG Allyのスペックやデザインなどについて解説してきました。スペックでも良いところはわかりますが、それだけではわからない部分も携帯ゲーミングPCには多いです。そこで今度は、ROG Allyの良いところについてレビューしていきます。
CPU性能がしっかりしている
スペック紹介でも触れましたが、ROG AllyのCPU性能は高いです。
2023年5月に発売された最新のCPU。最新のZen 4世代で、8コア16スレッドを有しています。クロックは3.3GHz~5.1GHzと高いです。
Ryzenシリーズとしては、シングル性能が高めの設計になっています。一般的なゲーミングPCと異なり、マルチコア性能が重要な作業をすることがあまりないので、これはありがたいところ。
GPUはCPUに統合されていますが、こちらもはGTX 1650よりも少し低い程度の性能です。多くのゲームを遊べるものの、決して高くはありません。
ただ、外付けのGPUボックスがあります。これを別途購入して取り付けることで、Radeon RX 6850M XTやRTX 4090 Laptopやが使えるようになるのがいいところです。
RTX 4090 Laptopは現行世代最高性能のGPU。
最高性能のGPUを取り付けてもボトルネックが起きない性能ということなので、CPU性能は高いです。
120Hzの高リフレッシュレート
ROG Allyに搭載されているディスプレイは、最高リフレッシュレートが120Hzと非常に高いです。
高性能なゲーミングノートPCと同等のモニターが使われています。ゲーミングノートの場合は、120Hzモニター搭載モデルは20万円以上することが多いです。
一方本機は10万円程度なので、コスパが高いと言えます。
コントローラーが使いやすい
ROG Allyは一般的な携帯ゲーム機のように、モニターとコントローラーが一体になっています。
Switchの大きさでもプレイしにくいという人がいますが、本機のサイズはSwitchよりも大きいです。
ただ、Switchよりもプレイしやすいと感じられます。これはコントローラーのボタンの大きさが一般的なことと、ボタンの押し心地が良いことが理由です。
携帯ゲーム機として考えると、ボタンはそこまで小さくありません。成人男性の指の大きさでも、しっかりと押し分けられます。
押し心地も良好で、操作性がいいです。
背面ボタンも押しやすく、かといってグリップを握ってるだけで勝手に押されるということもありません。
冷却音が小さめで快適に使える
小型のゲーミングPCというと、冷却音が気になるところです。実際、ゲーミングノートPCはファンの音が結構大きくなりがち。
ROG Allyはどうかというと、冷却音が小さいです。冷却音がうるさくてゲーム音に集中できないということは、基本的にはありません。高負荷になると流石に大きくなるものの、性能に合うゲームをプレイしている場合は問題ない程度です。
吸気口がしっかりしており、素の冷却性能が高いのがその理由のひとつ。普通にグリップを握っているだけでは、吸気口・排気口ともに塞がらないのがいいところです。
動かせるゲームの幅が広い
本機はGPU性能は決して高くはありませんが、それでも動かせるゲームの幅は広いです。ゲーミングPCで同等のGPU性能の安価な製品を探すと、メモリが8GBだったりCPU性能が低かったりします。
GPU性能は足りてるのに、メモリが推奨スペックギリギリで不安になることが多いです。
ただ、本機には十分なCPU性能とメモリ容量があります。このおかげで、動かせるゲームの幅が広いのが特徴です。
さらに、Steam以外のプラットフォームにも対応しているのもいいところ。Steam以外のPCゲームで遊びたい方にも、おすすめです。
ランチャーアプリが使いやすい
ROG Allyは、初回起動時にWindowsの設定をする必要があるだけで、そのあとは電源を入れるだけで使えるようになります。
ゲームなどを遊ぶ際に使うのは、「Armoury Crate」というランチャーアプリです。PCに全く詳しくなくても、簡単に操作できます。
十字キーの右上にあるコマンドセンサーボタンを押すと、設定画面が表示。ここから設定を簡単に変更できます。ゲーム中でも本体設定を自由に変えられるのが、いいところです。
このランチャーアプリでは、ASUSのゲーミングPC・ガジェットと同様に、さまざまな設定ができます。キーボード設定、リフレッシュレート設定、プロファイル設定、LEDの設定など項目が多いです。
LEDは、オフにもできます。
Windowsの操作は、ゲームをプレイするだけなら一切不要です。
どのプラットフォームのゲームも一画面で表示可能
PCゲームのプラットフォームはSteamが最も人気ですが、実はさまざまな種類があります。
たとえば原神などのオンラインゲーム・ソーシャルゲームは、独自のプラットフォームであることがほとんどです。他にもXboxのゲームプラットフォームなど、さまざま。フリーゲームに関しては、プラットフォームがありません。
このようなさまざまなプラットフォームのゲームを、全て一画面で表示できます。Switchと同じように、最近プレイした順に並べ替えることも可能。
今遊びたいタイトルを、すぐに起動できます。
また、DLSiteなどで販売されている同人ゲームもプレイ可能です。PCでプレイできるものなら対応しているので、Steam以外にも携帯ゲーム機で遊びたいPCゲームがある方には非常におすすめ。
性能の割には価格が安い
携帯ゲーミングPCの価格は、同等性能のゲーミングPCよりも高くなりがちです。ゲーミングノートPCでもそうですが、小型化にかかるコストの分、どうしても高くなります。
ROG AllyもGPU性能だけで見れば、10万円以下の価格帯。
ただ、CPU性能が高くメモリも16GBということを考えると、ASUSの10万円程度のゲーミングPCよりコスパがいいです。
ROG Allyの本体価格は、10万9,800円。
これで8コア16スレッドのCPUを搭載していると考えると、非常に安いです。
そのうえ、本体もよくできています。競合製品よりも本体重量が軽かったり、ランチャーアプリが優秀だったり、Steam以外のゲームを難なく遊べたりメリットが多いです。
ROG Allyのイマイチなところをレビュー
ROG Allyの良いところについて、レビューしてきました。競合製品と比べてもメリットが多いですが、もちろんイマイチな点もあります。そこで今度は、ROG Allyのイマイチなところについてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
ベースがWindows11なのでゲーム専用端末のような快適さはない
まず前提としてROG Allyは携帯ゲーム端末ではなく、Windows11を搭載した一般的なPCをベースに作られた携帯ゲーミングPCです。
任天堂Switchと同じような感覚でサクサクとゲームと接続できるかといえばそこまでの快適さはありません。
とは言いつつ、一度立ち上げれば専用のランチャーアプリ(Armoury Crate)が立ち上がり、様々なゲームにすぐにアクセスすることが可能です。
原神を寝転びながら楽しめるのは変え難い嬉しさがありますよ!
USBポートが一つしかない
ROG Allyには、USBポートがType-C一つしかありません。
電源アダプターも周辺機器も、ここから接続することになります。
充電しながら有線コントローラーを使ったり、充電しながらType-C対応モニターと接続したりといったことは基本的にはできません。
多機能なUSBハブであれば、モニター、マウス、キーボード、外付けコントローラーなどと接続できるためより快適に使えるのがいいところです。
なお、USBハブを購入する際は、Type-C給電ができつつハブとして拡張できるものを選ぶと良いです
ROG Allyのバッテリーはゲーム中はどんどん消耗していくため、給電しながらマウス・キーボード・モニターと接続するということが必須になります。
バッテリーの持ちは長くない
ROG Allyのバッテリー稼働時間(カタログ値)は10.2時間ですが、実際のゲームプレイでは当然そこまで持ちません。
実際にバッテリーのみでフォートナイトと原神をプレイしたところ、100%フル充電状態から10%を切るまでの時間は1時間半程度でした。
普段は給電しながらゲームをプレイしつつ、寝る前はケーブルを外してベッドの中で1時間程度のゲームを楽しむくらいの使い方がちょうど良いです。
画質設定は落すのが基本になる
ROG AllyはCPU性能は高いですが、GPUは内蔵型でグラフィック性能はあまり高くありません。
3Dゲームを遊ぶ際は画質設定を落とすのが基本になります。影や光の演出表現などの重くなる設定は、最低設定にするのがおすすめ。
ただ、重くなる演出面の設定を落とせばリフレッシュレートが下がってカクカクすることはなくなるので、画質設定にこだわりがない場合は特に問題はないでしょう。
重いゲームは解像度を低めにする必要がある
重いゲームを遊びたい場合は、解像度を下げる必要があります。
軽めのゲームなら画質設定を落とすだけである程度のリフレッシュレートを確保できるものの、重いゲームは解像度と画質設定を両方落とさないといけません。
本体スペックは1080P(フルHD)画質での表示が可能ですが、基本720P(HD)画質で楽しむことをお勧めします。
そもそも、重めのゲームに向いている性能ではないので、この点は仕方がない部分ではあります。
Steam Deckなどでも同様のことが言えるので、この点は現行の携帯ゲーミングPCに共通する課題です。
お金を出せばGPUを純正品で拡張ができる分、本機はライバル機よりも抜けた存在だと言えます。
ストレージ容量はあまり大きくない
ROG Allyのストレージ容量は、512GBとあまり大きくはありません。
コンシューマーでも発売されているような3Dゲームの場合は、一つで20GB以上することがよくあります。RPGは特に、容量が大きいです。
そのうえ、OSやランチャーアプリなどプリインストールされているもので、ある程度容量は埋まってしまいます。
容量が大きいゲームをいくつかインストールするとカツカツになるのが、難点です。
SDカードなら保証対象外にならないので、おすすめです。遊ぶ頻度が低いゲームをSDカードに入れておき、遊ぶ頻度が高いゲームを内蔵SSDに入れておくと快適。
遊ぶ頻度が高くても、軽いゲームならSDカードに入れてもロードが遅くなりすぎることはありません。
ROG Allyはこんな方におすすめ!
- 寝ころびながらSteamのゲームで遊びたい方
- 安価なゲーミングPCが欲しい方
- 外出先でもPCゲームで遊びたい方
- Steam以外のPCゲームも簡単に遊べるゲーム機が欲しい方
ROG Allyは、以上のような方々におすすめです。
ROG Allyは性能が携帯ゲーム機としては高めなのも大きなメリットですが、さまざまなPCゲームを簡単に遊べるのが最大のメリットです。
Steam DeckはSteamのゲームを遊ぶには便利ですが、それ以外のPCゲームについては工夫が必要になります。ほかの携帯ゲーミングPCもSteamを前提に開発されているので、それ以外のゲームは少し遊びにくいです。
一方ROG AllyはWin11を内蔵し、ランチャーアプリで複数プラットフォームを同一画面で扱えるなど便利な点がたくさんあります。さまざまなPCゲームを簡単に遊べるゲーム機として、活躍する幅が広いです。
何より、外出先でも布団の中でも快適にPCゲームで遊べるのがいいところ。
まとめ|コスパ最高の現行最強ポータブルPC
本記事では、ASUS ROG Allyの性能や使い勝手などの良いところやイマイチなところについて、レビューしてきました。
ROG Allyは後発ということもありますが、Steam Deckなどの先発の機器よりも性能が高いです。そのうえ価格帯は同じ。
同価格帯でより高性能で、なおかつさまざまなPCゲームを快適に遊べるのがいいところです。現行の携帯ゲーミングPCとしては、最強クラスだと言えます。
Steamゲームも、Xboxのゲームも、独自プラットフォームのゲームも、フリーゲームも快適。
2023年の今、携帯ゲーミングPCが欲しいならROG Allyがおすすめです。