ゲーミングアンプには、二大巨頭のようなモデルがあります。Astro MixAmpと、今回紹介するEPOS GSX1000です。どちらも非常に人気があり、さまざまなゲーマーが所持しています。
ゲーミングアンプの特徴によって、ヘッドホンやスピーカーから聞こえてくる音質はガラリと変わるんです。
アンプの性能が良ければ、それだけ良い音になります。
ただ、音には好みがありますし、用途によって適切な調整も異なるでしょう。
そこで今回は、EPOS GSX1000の音質的特徴などを、ネットで挙げられる良い評判・不満点、そして使用感レビューを通して紹介していきます。
EPOS GSX1000のスペック
サンプリングレート
- 7.1ch: 44.1 kHz @ 16 bit
- 7.1ch: 48.0 kHz @ 16 bit
- 2.0ch: 44.1 kHz @ 16 bit
- 2.0ch: 48.0 kHz @ 16 bit
- 2.0ch: 96.0 kHz @ 24 bit
- 1.0ch: 16.0 kHz @ 16 bit(コミュニケーション)
ヘッドホン部
- 再生周波数帯域:0~48,000Hz
- 推奨インピーダンス:16~150Ω
AUX部
- 再生周波数帯域:1.5Hz 48,000Hz
その他
- コネクタ:USB(PC側)
- 3.5mmジャック×3
ここで見るべきなのは、推奨インピーダンスです。幅が広くなっているのであまり心配することもありませんが、インピーダンスが大きすぎるヘッドホンだと音が小さく聞こえてしまうことがあります。
インピーダンスは、抵抗値です。抵抗値が大きくなれば、同じ大きさの電気を流しても、実際に出力される電気は小さくなります。そのため、150Ωより大きいインピーダンスのヘッドホンを使うと、音が小さくなるんです。
サンプリングレートに関しては、特筆することはないでしょう。2.0chと7.1chとを使い分けられる点、2.0chで最高96kHz/24bitというハイレゾ相当のサンプリングレートになる点だけ見ていればOKです。
EPOS GSX1000の良い評判
数値だけ見ると、スペックが高そうだということがわかりますよね。ただ、数値と実際の感覚とは必ずしも合致しません。そこで今度は、ネットでよく挙げられるEPOS GSX1000の良い評判を紹介しましょう。
デザインが良い
デザインは、ゲーミングデバイスらしいSFチックな雰囲気のある仕上がりです。それでいてシックな印象を受けます。どんなデスクでも、あまり浮かないお洒落な見た目です。
ディスプレイが大きく丸く、見やすいのも高く評価されています。それでいて、デザインの邪魔にはなっていません。恐らく、デザインする際にディスプレイを中心に考え、ディスプレイがより映えるようにしているのではないでしょうか。
さらに、インターフェイス類は全て背面にあります。ヘッドホンを繋ぐ事を考えると前面にあったほうが合理的だと言えるでしょうが、デザイン面を考えれば背面にほしいという人も多いです。
それに、背面似合ったほうがデスクの裏からケーブルを回せます。ケーブルが邪魔になりにくいレイアウトを作れるので、背面にあっても利便性は損なわないどころか、前面にある場合とはまた異なる利便性が生まれると言えるでしょう。
操作性が良い
EPOS GSX1000は、全ての操作をタッチで行います。物理ボタンが無いので一見難しそうに思えるかもしれませんが、アイコンの意味さえ覚えてしまえば操作自体は簡単です。全て、直感で操作できるようになっています。
音量調整は、ディスプレイを囲う銀の円を回すだけでできます。本体右側のダイヤルを回すと、チャットの音量を調整可能です。
四隅に光るバーがありますが、これをタッチすれば、プリセットを呼び出すことができます。
難しい操作は全くありません。スマホやDAPなどが扱える人なら、全ての機能を問題なく操作することができます。
オーディオ装置の知識などは、不要です。
リスニングにも使いやすい音質
ゲーミングアンプの中には、音に露骨なデジタルっぽさが生まれるものがあります。
ただ、EPOS GSX1000は、デジタルっぽさが全くありません。ごく自然な音質です。音もクリアなので、音をしっかり聞き分けられます。
さらに、ゲーミングアンプの中では比較的解像度が高いと評判です。ハイレゾ音源などを聴くという用途でも、使いやすいでしょう。
音質傾向もイコライザー設定をFPSにしない限り、極端な音質になることはありません。イコライザー設定の「音楽」は低音以外が聞きにくいものの、デフォルト設定は「高解像度・フラット」という音なので、音楽鑑賞にとても適しています。
音の定位感がバツグン
EPOS GSX1000で最もよく語られるのが、音の定位感が良いということです。 というのも、GSX1000には7.1chのバーチャルサラウンド機能があります。
バーチャルサラウンドは製品によって、性能差が大きく出る部分です。悪いものだと、残響しすぎてお風呂場みたいな音になってしまうこともあります。これでは使いにくいですよね。
一方GSX1000には、バイノーラルサウンドレンダリングという機能があります。
これを使うことで、まるで現実世界のような自然な定位表現になるんです。
360度、まわりで発生している音の方向が手に取るようにわかります。高解像度な調整になっていることもあり、足音、銃声、爆発音全てがクリアに聞き分けられるんです。FPSには、とても適しています。
さらに、残響音を調整することも可能です。
わかりにくいという方は、一度Youtubeでバイノーラルマイクを使用したASMRを聞いてみることをおすすめします。
バイノーラルサウンドレンダリングがどのようなものか、完璧にではないものの、ある程度貼り回できるでしょう。
バイノーラルサウンドは安いヘッドホンで聞いても、右・左・頭上・後ろなどの方向がわかります。これと感覚が近いと言われているんです。
EPOS GSX1000によく挙げられる不満点
EPOS GSX1000の良い評判を紹介してきました。音質傾向がデフォルトだとフラットで、高解像度。バーチャルサラウンド機能も性能が高く、ゲームにもリスニングにも使いやすいアンプということでした。ただ、もちろん人によっては不満を感じる部分もあります。
そこで今度は、EPOS GSX1000によく挙げられる不満点を紹介しましょう。
イコライザーが細かく設定できない
最もよく挙げられる不満点が、イコライザー設定です。
本機のイコライザーは、最初から用意されているプリセットの中から設定する形になっています。元々プリセットが用意され、ライトバーに当てはめられているので、場面に応じて使う形です。
ただ、味付けがかなり極端になります。たとえばFPS設定にすると低音がカットされてスカスカになり、中音・高音が強くなるんです。これによって銃声が大きく聞こえすぎたり、足音が聞こえなかったりするケースがあります。
できれば、専用ソフトウェアを使った細かい調整にも対応していればよかったのに、と感じる人がいるのも仕方がないと言えるでしょう。
PS4/PS5などでは使用できない
EPOS GSX1000は、PS4やPS5などのコンシューマー機では使えません。
接続自体はできますが、サラウンド機能などは使えなくなっています。恩恵を受けられないのであれば、使えないのと同じことでしょう。
公式も、PS4などのゲーム機との接続はサポートしていません。接続して不具合が起きれば、自己責任になってしまいます。
定位が素晴らしいため欲しいという人も多いでしょうが、PCゲーマー以外は選択肢に入れられないのが残念な点ですね。
モード設定は人とゲームを選ぶ
先程、イコライザーはプリセットで設定すると語りました。
ただ、各モードの味付けがかなり濃いです。FPS設定にすると低音がスカスカになると述べました。確かにFPSだと中音・高音がしっかり聞こえる方が、銃声などが聞き取りやすくなるので良いんです。
しかし、ゲームによっては足音が聞こえなくなるなどの不具合もネット上で報告されています。ゲームによって問題なかったり問題が起きたりするのは、面倒ですよね。
音楽用の設定もドンシャリ傾向になるので、人によっては使いにくいと感じるでしょう。リスニングにはデフォルトを使用するという人も多いです。
映画用の設定に関してはレビュー等をしている人は少ないものの、こちらはかなり極端なドンシャリ傾向になり、特に低音が濃密になります。
プリセットがあるのは良いのですが、各設定が極端なので、人とゲーム・場面を選んでしまうんです。結果、イコライザーは全く使わないという人もいます。
ゲーミングアンプとしては価格が高い
EPOS GSX1000は、ゲーミングアンプとしては価格が高い部類になります。2万7000円から3万円程度が、実売価格の相場です。
他のゲーミングアンプは、1万円台になっていることが多い傾向があります。GSX1000とよく比べられるAstro MixAmpは、1万5000円程度です。価格差は1万円以上ととても大きく、どちらも評価が高いのでGSX1000は選択肢から外れるという人もいるでしょう。
もちろん、価格差の分、性能の差もしっかりあります。たとえば音に関してですが、GSX1000の方が自然です。バーチャルサラウンド機能の性能の高さ、汎用性の高さなどMixAmpに勝る点はあります。
ただ、人によっては違いがあまり感じられないというケースもあるので、難しいところです。
EPOS GSX1000を使った使用感をレビュー
私のゲーミング環境、特にフォートナイトを楽しむときのスタンダードになっているのが、 EPOS GSX1000と同じくEPOSのゲーミングヘッドセットGSP600との組み合わせです。
この組み合わせにてFPSモードに設定した際の定位確認で右に出る組み合わせはそうそうありません。
前後左右からはもちろん上下方向も含め360度、足音や銃声が正しく把握できるとともに、低音は消されるため音は枯れたような印象を受けますが、通常モードでは聞こえない音などもしっかりと耳に入ってきます。
森の中でコバエ(小さな虫)が飛んでいる音が聞き取れたときは本当に驚きました。
少なくともこの組み合わせを確保できれば、ゲームでの勝敗において音響環境のせいすることは出来ません。
ちなみにFPS/TPS以外のゲームを楽しむ際は、イコライジングは音楽鑑賞モードをお勧めします。
ゲームミュージックはこだわった曲が多いので、曲にもしっかり没頭できる事間違いありません。
EPOS GSX1000はより良い定位感を求める人におすすめ!
EPOS GSX1000について、説明してきました。多くの人に評価されているのは、音の自然さ・クリアさと定位感です。多くの人の不満点になっているのはイコライザーですが、フリーソフトを使えばある程度は対処できます。
GSX1000は、予算をある程度高く考えることができ、妥協したくない人にとってはとても良い選択肢になるでしょう。
バツグンの定位感で有利に戦いたい、どうせなら色んな用途で使いたいという人にはおすすめですよ。