Razer Huntsman V3 HE Magnetic Tenkeyless 8KHzは、磁気式スイッチを採用したテンキーレスのゲーミングキーボードです。
反応点を0.1〜4.0mmの間でキーごとに設定でき、ラピッドトリガーと8000Hzのポーリングレートにも対応。価格は税込20,980円で、Huntsmanの8KHz系では手に入れやすい価格帯。
本記事では、Razer Huntsman V3 HE Magnetic Tenkeyless 8KHzの良いところと気になる点についてレビューしていくので、ぜひご参照ください。
※本レビューはRazer様より製品を提供いただきレビューしてます
Razer Huntsman V3 HE Magnetic Tenkeyless 8KHzの基本的な仕様

スペックと特徴
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 価格 | 税込20,980円 |
| 配列・サイズ | 英語(US)・テンキーレス/823.5g(実測) |
| スイッチ | Razer ホールエフェクト磁気スイッチ(ホットスワップ非対応) |
| アクチュエーションポイント(反応点) | 0.1〜4.0mm(出荷時2.0mm)/作動荷重40g |
| ラピッドトリガー・Snap Tap | 対応(本体のfnキーでも切り替え可) |
| ポーリングレート | 8000Hz(有線 USB Type-C) |
| キーキャップ・天板 | ダブルショットPBT・アルミトッププレート |
主な特徴は、以下の通りです。
- Razerのホールエフェクト磁気スイッチを搭載
- 反応点は0.1〜4.0mmの範囲でキーごとに設定でき、ラピッドトリガーは押し込みと戻りの感度を別々に決められる
- Snap Tap、Snap Flex、デュアルキー入力優先など、移動キー向けの入力機能を搭載
- オンボードメモリに6つのプロファイルを持ち、fnキーとの同時押しで呼び出せる
- 設定はRazer Synapseのほか、ブラウザで動くSynapse Webからも行える
- 日本語配列モデルも販売
同梱品

同梱品は以下の通りです。
- キーボード本体
- USB Type-A – Type-C ケーブル(結束バンド付き)
- 重要な製品情報ガイド
- ステッカー
ケーブルは着脱式で、編み目状の被覆がかかっています。リストレストは付属しないので、手首を置いて使いたい場合は別に用意する形です。
デザイン

外観は黒一色のテンキーレスタイプ。天板はアルミで、横方向にヘアライン加工が施されています。

矢印キーの上にRAZERの刻印が配置されています。

左側のtab、caps、shiftには、文字のほかに小さなアイコンが刻まれています。fnと同時に押したときの役割を示すもので、tabが反応点、capsがラピッドトリガー、shiftがSnap Tapの切り替えです。
Fn操作でゲーミングに必要な設定切替を行えるのが本機の利点の一つです。

キーキャップはダブルショットのPBTで、文字の位置は上面です。

この文字の部分が光を通す作りになっています。

スイッチのハウジングは透明で、キーキャップの下から光が広がる構造です。文字だけが光るのではなく、キーとキーの隙間にも色が回るので、暗いシーンでの演出にも映えます。

キーキャップを外すと、白い軸を組み合わせたスイッチが確認できます。
スイッチは本体から取り外せる作り。

ただしRazerの公式FAQでは、このキーボードのスイッチはホットスワップ非対応という扱いです。磁気スイッチは精度と遅延のために最適化してあり、入れ替えると性能が落ちる、というのが公式の説明。技術ページには、スイッチを工場で1つずつキャリブレーションしていることも書かれています。
その為、スイッチが抜けるからといって、HE対応をうたう社外のスイッチを差すのは避けたいところです。磁気式は製品ごとにセンサーと磁石の組み合わせが違うので、合わないものを差すと基板やセンサーを傷める恐れがあります。Razerから交換用のスイッチが出れば試してみたいですが、本記事の執筆時点では確認できていません。

底面には「FOR GAMERS. BY GAMERS.」の文字が一面に型押しされています。

キックスタンドは2段式です。閉じた状態、低い段、高い段の3通りで角度の調整ができます。
各種設定

設定はRazer Synapseで行います。

画面はカスタマイズ、アクチュエーション、ライティング、キャリブレーションの4つに分かれており、主な設定項目は以下の通りです。
- アクチュエーション:反応点を0.1〜4.0mmで設定。全キーに同期させることも、選んだキーだけに当てることもできる
- 高速トリガー(ラピッドトリガー):押し込みと戻りの感度を0.1〜1.0mmで設定。アップストロークとダウンストロークを別々の値にできる
- 連続高速トリガー:押した時に入力、離した時にリセット
- Snap Tap:2つのキーの同時入力を防ぐ。動作は最後の入力、ニュートラル、左を優先、右を優先、レベルを比較の5種で、組み合わせは4つまで
- Snap Flex:キーを離した時に別のアクションを実行。最大4キー
- デュアルキー入力優先:選んだ移動キーのペアを、ほかのキーが押されている間も有効に保つ
- 有線ポーリングレート:125・250・500・1000・2000・4000・8000Hz
- デッドゾーンの切り替え:レスポンシブ、中、安定性の3段
- ゲーミングモード:fn+F10。Windowsキーやメニューキーを無効にする
- キャリブレーション:スイッチの検知を調整し直す。実行中はキーボードが動作しない
- ライティング:輝度、消灯の条件、効果
反応点と高速トリガーは、キーボードの図でキーを選んでから値を決めます。全部のキーを選んで一括で設定することも、WASDだけ選ぶこともできる仕組み。この記事の設定は、反応点3mm、高速トリガーは押し込みも戻りも0.4mmです。
下はSnap Tapの設定画面。Snap Tapというのは割り当てられた2つの方向キーのうち、後から押したキーの入力を優先し、前のキーを離さなくても瞬時に切り替える技術の事を言います。

Snap TapのOn/Off切り替えはfn+左Shiftです。初期の組み合わせはAとDで好みで優先キーを変えることが出来ます。
なお、Counter-Strike 2では2024年8月から、この種の入力補助を検出するとValve公式サーバーの試合からキックされる仕様になりました。大会に出る場合も、各大会の規定を確認しておくと安心です。
Razerについて
Razerは2005年に創立されたメーカーで、カリフォルニア州アーバインとシンガポールに本拠地を置いています。ゲーミング周辺機器のほか、BladeのノートPCや、Synapse、Chromaといったソフトウェアも手がける会社です。スローガンは「ゲーマーのために、ゲーマーによって作られた」。
Huntsmanは、Razerのeスポーツ向けキーボードのシリーズです。当サイトでは、上位モデルであるV3 Pro 8KHzのレビューも公開しています。

Razer Huntsman V3 Pro Tenkeyless 8KHzとの比較

当サイトでは、同じHuntsmanの8KHz系で上位にあたるHuntsman V3 Pro Tenkeyless 8KHzもレビューしています。どちらもテンキーレスの有線キーボードで、反応点の調整、ラピッドトリガー、Snap Tapを備える構成。価格は1万6千円違うので、その差が何に当たるのかを整理します。
| 項目 | Huntsman V3 HE Magnetic TKL 8KHz | Huntsman V3 Pro TKL 8KHz |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 20,980円 | 36,980円(Green Edition) |
| スイッチ | Razer ホールエフェクト磁気スイッチ | 第2世代 Razer アナログオプティカルスイッチ |
| 反応点 | 0.1〜4.0mm | 0.1〜4.0mm |
| 作動荷重(公称) | 40g | 40g |
| ポーリングレート | 8000Hz | 8000Hz |
| 本体に保存できるプロファイル | 6(プリセット2+カスタム4) | 6(プリセット2+カスタム4) |
| リストレスト | 付属しない | 付属(マグネット式・レザーレット) |
| Snap Tap/Snap Flex | 対応 | 対応 |
大きな違いは、キーの仕組み。

右:第2世代 Razer アナログオプティカルスイッチ
本機のホールエフェクト磁気スイッチは、キーを押したときの磁界の強さの変化で押し込みを検知します。金属の接点で入力を拾う従来のスイッチと違い、接点の摩耗やチャタリングによる遅れが起きません。
一方、V3 Proの第2世代アナログオプティカルスイッチは、スイッチの軸を通る光の量を測り、キーがどこまで押されたかを読み取る方式です。
読み取るものが磁界か光かの違いで、どちらも押し込みの深さを連続して拾える点は共通。反応点を0.1〜4.0mmで決められるのも同じです。
作動荷重はどちらも公称40gですが、押したときの感触は同じではありません。私の感覚ですが、V3 Proは、40gの表記に対して体感は50gくらいに重く感じますが、本機は押し始めが軽めです。

目に見える違いは、右上の操作系です。V3 Proの右上には、音量やスイッチの設定に使うマルチファンクションデジタルダイアルと、メディア操作やマクロを割り当てる2つのボタンが並びます。矢印キーの上にはLEDインジケーターがあり、反応点やラピッドトリガーを本体で調整するときの目安になる作りです。

もう1つの違いはリストレストで、V3 Proにだけ付属します。マグネットで本体に付く硬めの作りで、置いた手首の位置が定まります。
Razer Huntsman V3 HE Magnetic Tenkeyless 8KHzの良いところをレビュー
ここからは、実際に使って感じた良いところを挙げていきます。
反応点をキーごとに変えられるので、用途によって使い分けられる

反応点は、Synapseのキーボード図でキーを選び、スライダーで0.1〜4.0mmの間に置きます。全キーに同じ値を入れることも、選んだキーだけ変えることもできる作り。磁気式は押し込みの深さを連続して読み取っているので、どの深さで入力を通すかをソフト側で決められます。
実用的には最初に0.4mm前後で使ったところ、ゲームでの反応は非常によく自分の意図がダイレクトに反応します。
なお、本機の設定ではすべてキーに設定を入れる・特定のキーだけ設定を入れるといった調整も可能です。
全てのキーに同じように浅い設定を入れた場合、困るのは左の小指です。WASDに指を置くと小指がShiftやCtrlに触れ、触れただけで入ってしまいます。

移動に使うキーだけ浅く、Shift、Ctrl、その周りは深く、と分けて置くのが本機の使い方として有効です。
なお文字入力では、浅めの設定は成り立ちません。キーに触れた程度の動きで入力が通るので、意図しない入力が重なって、まともに打鍵することが難しいです。作業に使う分は、3mmまで深くして落ち着きました。
40gと0.1mmからの反応点で、指をわずかに動かした分だけ入力が通る

作動荷重は40gで、押し始めが軽め。反応点は0.1mmまで浅くでき、高速トリガーを入れると、押し込みの途中でも指を戻した分だけ入力が切れて、押し直した分だけまた入ります。感度は押し込み側と戻り側で別々に決められる仕様です。
軽い荷重と浅い反応点の組み合わせで、指をわずかに動かした分だけ入力が通る操作ができます。
ただし、指の細かな動きをそのまま拾うということは、意図しない動きも拾うということにもなりますので、ある程度の遊びは確保しておいた方が、操作しやすいと感じます。
fnキーだけで反応点・高速トリガー・プロファイルを切り替えられる

反応点の調整はfn+tab、高速トリガーの調整はfn+caps、Snap Tapのオン・オフはfn+左Shiftで、Synapseを開かずに本体だけで動かせます。キーにアイコンが刻まれているので、組み合わせを覚えていなくても手元を見れば分かる形。
Synapseを入れていないPCでも、ブラウザで動くSynapse Webからも設定を変更し、本体のプロファイルに保存できます。大会の会場や会社のPCのように、ソフトを入れられない環境でも設定を持ち込める点は、頼りになるところです。
黒一色のアルミ天板で、机に置いたときの見た目がすっきりしている

天板はヘアライン加工のアルミで、色は黒一色です。ロゴは矢印キーの上にあるRAZERの刻印だけで、V3 ProのようなLEDインジケーターは置かれていません。
キーキャップも黒なので、消灯した状態では天板とキーが同じ色でまとまります。派手な装飾を足さず、アルミの質感とキーの並びで見せるデザイン。
毎日座る机の上で目に入るものなので、この見た目の良さは、ゲームや作業を始めるときのモチベーションを上げてくれます。
テンキーレスで、普段の文字入力にそのまま使える

配列はテンキーを省いただけのテンキーレスで、矢印キー、F1〜F12、ins〜pg dnの6キーが独立して残っています。F1〜F3は音量、F5〜F7はメディアの操作を兼ねる形。
ラピッドトリガー対応のキーボードは60%や65%のサイズが多く、矢印キーやFキーをfnとの同時押しに回した製品が目立つところ。本機はそこを削っていないので、ゲームを終えたあと同じキーボードで文字入力に戻れます。
日本語配列のモデルも国内で売られているので、配列で迷う人はそちらを選べます。ゲーム用に買ったキーボードを、机の上でそのまま仕事にも回せる配列です。
上面印字と透明なスイッチハウジングで、キーの間から色が回る

キーキャップの文字は上面印字で、文字の部分だけ光が抜けます。加えてスイッチのハウジングが透明なので、キーキャップの下から漏れた光がキーとキーの隙間に回る作り。
上から見ると、文字が光っているのに加えて、キーの周りが色で縁取られたように見えます。単色にしたときの色の面積が広く、全体が一色に染まる見え方です。
効果はスタティックやブリージング、リアクティブ、スペクトラムサイクリングなどからSynapseのライティング画面で選び、輝度は0〜100で決められます。
光り方を重視する人には、文字だけが光るキーボードより見応えのある1台です。
Razer Huntsman V3 HE Magnetic Tenkeyless 8KHzの気になる点をレビュー
良いところが目立つ一方で、購入前に知っておきたい点もあります。
有線のみで、ケーブルレスにはできない

接続は有線のUSB Type-Cのみで、ワイヤレスには対応しません。ケーブルレスの机を組みたい人には向かない仕様です。
ケーブルは着脱式で、被覆は編み目状。背面中央のポートから出る配線なので、手持ちのType-Cケーブルに替えることもできます。
8000Hzのポーリングレートは、Synapseで有線ポーリングレートとして設定する項目です。有線を前提にした設計として受け止めておくのがよいでしょう。
スイッチは抜けるが、交換は公式非対応

スイッチは指でつまんで引き抜ける構造です。ただしRazerの公式FAQは、このキーボードをホットスワップ非対応としています。理由は、磁気スイッチが精度と遅延のために最適化されていて、入れ替えると性能が落ちるから。工場で1つずつ調整されているスイッチなので、別のスイッチに替える前提の製品ではありません。
他のスイッチに交換できなくとも、保守用のスイッチが数個入ってたらよかったと感じました。
まとめ

Razer Huntsman V3 HE Magnetic Tenkeyless 8KHzは、以下のような方におすすめです。
- 反応点をキーごとに決めて、ゲームと文字入力を同じキーボードで済ませたい方
- Razerの磁気式を、テンキーレスで2万円前後で手に入れたい方
- V3 Proとの差額を、リストレストとスイッチ方式に払う必要がない方
- 矢印キーやFキーを残したテンキーレスで、ラピッドトリガーを使いたい方
- CS2ではSnap Tapを切って使う、と割り切れる方
Razerのホールエフェクト磁気スイッチを載せたキーボードで、0.1〜4.0mmの反応点調整、ラピッドトリガー、8000Hzのポーリングレートを税込20,980円で手に入れられます。
有線のみ、スイッチの交換は公式非対応、といった点はあるものの、反応点を自分で決めて使うキーボードとしては、この価格で不足がありません。
2万円でRazerの磁気式を手に入れられるキーボードとして、ぜひ候補に入れてみてください。
