Endgame Gear KB65HEは、ドイツのゲーミングデバイスブランドが手がけた初のキーボード。
CNCアルミ削り出しの重厚なボディに、Gateron KS-37B磁気スイッチとラピッドトリガーを搭載した65%レイアウトのHEキーボードです。
約1,050gの重量感による安定性と、キーごとに0.1mm単位で調整できるアクチュエーションポイントが特徴的。
本記事では、そんなKB65HEの良いところと気になる点についてレビューしていくので、ぜひご参照ください。
Endgame Gear KB65HEの基本情報
まずはKB65HEのスペックやデザイン、付属品、メーカー、そして新型KB65HE 8kとの違いについて紹介していきます。
スペック

KB65HEの主なスペックは以下のとおりです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| レイアウト | 65%(68キー)英語配列 |
| スイッチ | Gateron KS-37B 磁気スイッチ(ルブ済み) |
| アクチュエーションポイント | 0.1〜4.0mm(キーごと個別設定) |
| ポーリングレート | 1,000Hz |
| ケース素材 | CNCアルミニウム削り出し |
| キーキャップ | Ducky製 高純度PBT 2色成形 |
| 接続 | USB-C 有線のみ |
| 重量 | 約1,050g(実測1,054g) |
| 価格 | オープンプライス(実売15,000円前後) |
※ケーブル長やダンパー素材、傾斜角度などの詳細スペックは公式サイトを参照してください。
ホールセンサー式スイッチ(HEスイッチ)というのは、磁界の変化を電気信号に変換してキー入力を検出する方式のこと。 物理的な接点がないため摩耗が起きにくく、1億5,000万回という耐久性を実現しています。

搭載されているGateron KS-37Bは、デュアルレール構造を採用した磁気スイッチ。 2本のレールでステムをガイドするため、キー入力時の揺れが少なく安定した操作が可能です。
自己潤滑性の高いPOM素材とルブ済みステンレススプリングにより、滑らかなキータッチと素早い反発を両立しています。
ラピッドトリガーというのは、キーを離した瞬間に即座にリセットされる機能のことです。
従来のメカニカルスイッチは固定のリセットポイントまで戻さないとキー入力がリセットされませんが、ラピッドトリガーではキーの戻し量に応じて即座にリリースされます。
デザイン

CNCアルミニウム削り出しの筐体は、65%キーボードとしてはかなりの存在感。 マットブラックの仕上がりで、角が丸く処理されているため手触りが良いです。 ベゼル(フレームの縁)は狭めに設計されており、キーボード全体がコンパクトにまとまっています。

実測で1,054gあり、65%キーボードの中ではトップクラスの重さ。 デスクマットの上に置いてもゲーム中にまったくズレません。 重量があるぶん持ち運びには少し気を使いますが、カバンに入れて移動できないほどではないです。

底面には幅広のシリコンストリップが配置されており、滑り止めとしても機能。 傾斜角度はデフォルトで5°、付属の交換脚に差し替えると7.5°に変更できます。
ケース内部にはシリコン製のダンパーがケース用・PCB用の2層構成で配置されており、打鍵時の振動や反響音を抑えています。 スタビライザーもルブ済みで、スペースキーやシフトキーなどの大きなキーのカタつきが少ないです。
付属品

KB65HEの付属品は以下のとおりです。
- USB-A to USB-C 編組ケーブル(180cm、シリコン製ケーブルタイ付き)
- 角度変更用交換脚(7.5°)
- Endgame Gearロゴ入り黄色Escキーキャップ
- クイックスタートガイド
黄色いEscキーキャップは、オールブラックの本体に映えるアクセント。 気分によって付け替えて楽しめます。


メーカーについて
Endgame Gearは、ドイツ・ベルリンに拠点を置くゲーミングデバイスブランド。 OP1やXM2weといったゲーミングマウスで評価を確立してきたメーカーです。 KB65HEは、そのEndgame Gearが初めて手がけたキーボード製品にあたります。
国内では株式会社アーキサイトが正規代理店として販売を行っています。
KB65HE 8k(新型)との違い
KB65HEには、2025年に発売された上位モデル「KB65HE 8k」が存在します。 主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | KB65HE(旧型) | KB65HE 8k(新型) |
|---|---|---|
| ポーリングレート | 1,000Hz | 8,000Hz |
| スイッチ | Gateron KS-37B | Raesha Silent Magnetic |
| 初期荷重 | 30gf | 28gf |
| 吸音素材 | シリコンダンパー | Poronサンドイッチパッド+スタビライザーダンピング |
| SOCD対応 | 記載なし | あり |
8k版はポーリングレートが8倍になり、スイッチもより静音かつ軽量なRaesha Silentに変更されています。 吸音構造も刷新されており、打鍵音がより深く落ち着いたサウンドに仕上がっているとのこと。
ただ、旧型のKB65HEも現在はAmazonで15,000円前後まで価格がこなれてきており、HEキーボードの入門機としてはコストパフォーマンスに優れた選択肢です。 1,000Hzのポーリングレートでストレスを感じる方はほとんどいないはずです。
KB65HEの良いところをレビュー
KB65HEの良いところについて、レビューしていきます。 HEキーボードならではのラピッドトリガーやアルミボディの安定感など、ゲーミング用途での使い心地が気になる方は参考にしてみてください。
約1,050gのアルミボディがゲーム中にまったくブレない

実測1,054gのCNCアルミ削り出しボディ。 フォートナイトの建築操作やタルコフの咄嗟のリーン操作など、激しくキーを叩く場面でもデスク上でキーボードがズレる気配がありません。
65%キーボードは軽量なモデルだと400〜600g程度のものも多く、激しい操作で不安定に感じるシーンがあります。 KB65HEは底面のシリコンストリップと重量の相乗効果で、一度置いたらそのまま動かないのが嬉しいポイント。
重量があるぶん持ち運びには影響しますが、65%サイズなのでバックパックに入れて移動することも可能です。
ラピッドトリガーをキーごとに個別設定できる

KB65HEのラピッドトリガーは、キーごとに独立してアクチュエーションポイントを設定可能。 たとえばWASDキーは0.1mmに設定して最速の反応を得つつ、それ以外のキーは2mm前後に設定して誤入力を防ぐ、という使い分けができます。
専用ソフトウェアのAdvancedタブから、スライダーで直感的に調整できるのも便利です。
実際にフォートナイトで0.1mmに設定してプレイすると、キーに触れた瞬間に入力が反映される感覚があります。 ストッピングの精度が上がるため、建築からの切り替えがスムーズになりました。
原神のようなアクションRPGでも、キャラクター切り替えやスキル発動の応答が速く、操作に余裕が生まれます。
Ducky製ダブルショットPBTキーキャップの手触りが良い

キーキャップは老舗キーボードブランドDuckyとのコラボレーション製。 PBT素材の2色成形(ダブルショット)で、表面にはほどよいザラつきのテクスチャが施されています。
1ヶ月ほど使用しましたが、ABS素材で起きがちなテカりはほとんど感じません。 指が吸い付くような感触で、長時間のゲームプレイでも滑りにくいです。
キーの印字は2色成形のため、使い込んでも消えることがありません。 地味なポイントですが、長く使ううえで安心感があります。
65%レイアウトがFPS・TPSと相性が良い

65%レイアウトは、ファンクションキーとテンキーを省略しつつ矢印キーを残した配置。 デスク上でマウスの可動域を広く取れるため、FPSやTPSでのローセンシプレイに向いています。
私はフォートナイト、タルコフ、原神などのタイトルでプレイしていますが、とても快適でした。 矢印キーが残っているので、ゲーム外の操作(ブラウザや設定画面など)でも不便を感じにくいです。

エンターキーの右側に余白がないタイプの65%キーボードのため、余白ありのモデルと比べるとタイピング時に右端のキーを誤打しやすい面はあります。 そのぶん、65%キーボードの中でもとてもコンパクトに仕上がっています。
RGBライティングがキーごとに光る

per-key RGBライティングに対応しており、すべてのキーが個別に発光。 アルミケースの隙間からRGBが漏れ出る光り方で、控えめながらも存在感があります。
ソフトウェアからプリセットの切り替えや、キーごとの色設定が可能。 Fnキーのショートカットでもモード変更や明るさ調整ができるので、ソフトウェアなしでもある程度のカスタマイズはできます。
KB65HEの気になる点をレビュー
ここまで、KB65HEの良いところについてレビューしてきました。 CNCアルミの重厚感やラピッドトリガーのキーごと設定など、ゲーミングキーボードとして魅力的な製品ですが、一部には気になる点もあります。
打鍵感はガシャガシャ・シナシナ系で好みが分かれる

Gateron KS-37Bスイッチの打鍵感は、リニアで引っかかりのないストロークが特徴。 ただ、打鍵音はガシャガシャとした金属音が混じり、底打ちの感触はシナシナと頼りない印象があります。
Cherryの赤軸やGateron Proのような「コトコト」系の打鍵感を好む方には、少し物足りないかもしれません。 とはいえ、HEスイッチの打鍵感は通常のメカニカルスイッチとは構造が異なるため、直接的な比較は難しい部分です。
新型のKB65HE 8kではRaesha Silent Magneticスイッチに変更され、打鍵音の改善が図られています。 打鍵感を重視する方は、8k版を検討するのも選択肢のひとつです。
KB65HE + Gateron KS-37Bスイッチの打鍵感
0.1mm設定では通常のタイピングで誤字を連発する
アクチュエーションポイントを0.1mmから1mm付近に設定すると、キーに触れただけで入力が反映されるほどの感度。 ゲーム中は最速の反応を得られますが、通常のタイピングで使おうとすると誤入力が頻発します。
ゲーム用プロファイルとタイピング用プロファイルをソフトウェアで切り替えるか、あるいはゲーム専用キーボードとして割り切って使うのが現実的です。 ただし、オンボードメモリに保存できるプロファイルは1つだけ。 2つ以上のプロファイルを使い分ける場合はソフトウェアを常駐させる必要があります。
有線接続のみでワイヤレス非対応

KB65HEはUSB-Cの有線接続のみで、Bluetooth・2.4GHz無線には非対応。 持ち運んで複数のデバイスで使いたい場合や、デスクをすっきりさせたい場合には不向きです。
ただ、ゲーミング用途では有線接続の安定性はむしろメリット。 ワイヤレスによる遅延や接続切れのリスクがないため、競技シーンでも安心して使えます。
こちら無線派の方にはデメリットになりますが、仕様が無線に対応しているかどうかの選択肢であれば、個人的には安価に購入でき、接続も安定する事から迷わず有線タイプを購入しています。
HEスイッチのホットスワップは互換性に要注意|実際に壊した話
ここからは、KB65HEに限らずHEキーボード全般に関わる注意点を、実体験を交えてお伝えします。 HEキーボードのスイッチ交換を検討している方は、ぜひ読んでみてください。
互換性のないスイッチを挿してキーボードを壊した

私自身、普段はメカニカルキーボードを中心に使っており、HEタイプでのスイッチ交換は今回が初めて。
Cherry MX互換のメカニカルスイッチと同じ感覚で、「同じ磁気スイッチなら交換できるだろう」と考えて、Gateron NOVA Magnetic Switchを1個交換してみました。
挿す際にも若干はめづらさを感じたものの、「少し硬いだけだろう」と強引に押し込んだのですが、これが原因でキーボード全体が完全に無反応に・・・。
LED点灯なし、キー入力一切不可。 USBのシステム音は鳴り、Endgame Gearのソフトウェアでもデバイスとして認識されるのに、入力もライティングも一切動かないという状態です。
交換前に元のKS-37Bと並べて形状を確認した際、スイッチの形状が若干異なるような雰囲気はありましたが、気にせずそのまま進めてしまったのが間違いでした。
元のGateron KS-37Bスイッチに戻しても復旧せず、ソフトウェアからのRestore defaultやファクトリーリセット(Fn+Esc 5秒長押し)もすべて効果なし。 現時点で復旧できていません。
壊れた理由

改めて調べてみると、HE(ホールエフェクト)スイッチには、メカニカルスイッチのCherry MX互換のような統一規格が存在しません。 「磁気スイッチ」という動作原理は同じでも、以下の4つの要素がメーカーや型番ごとに異なります。
- 磁石の極性(N極/S極) — 磁石が下向きN極か下向きS極かがメーカーにより異なる
- 磁束の強さ — ファームウェアは特定の磁力を前提にキャリブレーションされている
- ガイドピンの形状 — ピンの数・位置・太さが型番ごとに違う
- 磁石の構造(水平/垂直) — 磁石の向きでセンサーとの互換性が変わる
実際に元のKS-37Bと購入したNOVAの底面を並べてみると、形状が異なります。
見た目が似ていても、物理的にソケットに合わないスイッチを無理に押し込むと、PCB上のホールセンサーやスキャン回路にダメージを与える可能性があるという事です。
HEスイッチを交換する前に確認すべきこと
この失敗から得た教訓は3つ。
- キーボードメーカーの互換性リストを必ず確認する。 リストがなければ、DiscordやRedditで「キーボード名 + スイッチ名」の動作報告を探す
- 挿す前に元のスイッチと底面を並べて比較する。
- スムーズに入らないスイッチは絶対に押し込まない。 メカニカルの感覚で「少し力を入れれば入る」と思うと取り返しがつかない
純正のKS-37B系スイッチを使うぶんにはこの問題は発生しません。 HEスイッチの互換性についてはまだ業界全体で整理が進んでいない段階なので、スイッチとキーボード本体の相性は事前に確認しておく必要があることを学びました^^;
余談ですが、私自身の知識不足が原因でこれまでに何度もキーボードを壊しています。自作キーボードの組み立て中にピンを折ってしまい完成にたどり着かなかったことも。壊した時は頭を抱えるのですが、最近はその失敗の一つ一つが知識として蓄えられていると前向きにとらえています。もう少し失敗体験が蓄積出来たら、記事にするのも良いかなと。
KB65HEはこんな方におすすめ!

KB65HEは、以下のような方々におすすめです。
- ラピッドトリガー搭載のHEキーボードを初めて試したい方
- デスク上でまったくブレない重厚なキーボードが欲しい方
- フォートナイトやタルコフなど、ストッピング精度が求められるFPS・TPSをプレイしている方
- CNCアルミ削り出しの高級感ある65%キーボードを求めている方
- 8k版の価格がまだ高いと感じている方(旧型は実売15,000円前後まで下がっている)
ラピッドトリガーの恩恵を最も感じやすいのは、ストッピング操作が勝敗に直結するFPSタイトルです。 フォートナイトの建築やタルコフのリーン操作では、キーの反応速度の差がはっきり体感できます。
一方で、原神のようなアクションRPGでも、スキル発動やキャラクター切り替えの応答がスムーズになるため、幅広いジャンルで恩恵を受けられます。
8k版と迷う場合は、まず旧型で「HEキーボードとはどういうものか」を体験してみるのが良い入口です。 実売15,000円前後であれば、HEキーボードとしてはかなり手の出しやすい価格帯だと言えます。
まとめ

本記事では、Endgame Gear KB65HEの良いところと気になる点について、レビューしてきました。
CNCアルミ削り出しの約1,050gという重厚なボディは、ゲーム中の安定性に直結する大きな強み。 ラピッドトリガーのキーごと個別設定やDucky製PBTキーキャップの質感など、実売15,000円前後とは思えない完成度です。
一方で、HEスイッチの互換性問題はこのキーボードに限らずHEキーボード全体の課題。 「ホットスワップ対応」の表記を見て安心してスイッチを交換すると、最悪の場合キーボードを壊す可能性があります。 純正のKS-37Bスイッチで運用するぶんには何の問題もないので、スイッチ交換を考える場合だけ事前の互換性確認を忘れないでください。
HEキーボードの入門として、またFPS系でラピッドトリガーの恩恵を体感したい方にもおすすめのゲーミングキーボードだと言えます。

